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10月05日-一般質問-02号

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  1. 新潟県議会 1968-10-05
    10月05日-一般質問-02号


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    昭和43年  9月定例会 本会議昭和43年10月5日(土曜日)  議事日程 第2号    午前10時 開議第1 県政に対する一般質問   ―――――――――――――――――本日の会議に付した案件 日程第1 県政に対する一般質問(林弘二君、江口金吾君、佐藤熊太郎君、若槻勉君、田井安平君)   ――――――――☆――――――――出席議員(60名)       石塚 光雄 君  伊豆野壹郎 君  長谷川豊恵 君  渡邊 庚二 君       勝又 一郎 君  田原幸次郎 君  竹内十次郎 君  中川 三七 君       目黒吉之助 君  今成雄志郎 君  子田 忠男 君  志苫  裕 君       二瓶田之助 君  若槻  勉 君  鶴巻辰次郎 君  丸山金太郎 君       後藤 清一 君  志田  保 君  木島喜兵衛 君  吉川 浩次 君       山岸 敏夫 君  岩村卯一郎 君  近藤 元次 君  田井 安平 君       池田 三治 君  長谷川音五郎君  西川 亀三 君  高橋半左エ門君       小林 静夫 君  高橋 十一 君  加賀田二四夫君  鈴木 源次 君       長谷川 信 君  石本十九一 君  富樫又太郎 君  川室 道隆 君       佐藤 幸作 君  長谷川吉雄 君  佐藤熊太郎 君  長谷川多喜男君       外山勘兵衛 君  角屋 久次 君  相場 一清 君  鈴木 太吉 君       高橋 重雄 君  戸田 文司 君  岡田 幸平 君  田原與一郎 君       小山 俊弌 君  祢津 文雄 君  吉川 芳男 君  旗野 進一 君       小野 清一 君  吉田 兼治 君  林  弘二 君  吉田 吉平 君       高橋 虎夫 君  江口 金吾 君  太田  勇 君  内山 福雄 君   ―――――――――――――――――議員以外の出席者  知事          亘  四郎 君  出納長         松原 義一 君  総務部長        小川  亮 君  企画部長        佐藤 貞三 君  民生部長        矢野 達夫 君  衛生部長        長瀬十一太 君  商工労働部長      水谷 剛蔵 君  農林部長        川田  稔 君  農地部長        重見  通 君  土木部長        重野  伃 君  病院局長        井村 繁樹 君  企業局長        坂本 義勝 君  教育長         小野塚忠義 君  警察本部長       工藤 真澄 君  人事委員会事務局長   山根 俊英 君  地方労働委員会事務局長 白井 哲夫 君  教育委員長職務代理者  堀井 栄蔵 君  監査委員        佐藤 修吾 君  監査委員        石澤 庄市 君   ――――――――☆―――――――― △午前10時10分開議 ○議長(高橋重雄君) これより本日の会議を開きます。   ――――――――☆―――――――― △日程第1 県政に対する一般質問 ○議長(高橋重雄君) 日程第1、県政に対する一般質問を行ないます。通告順により発言を許します。 まず、林弘二君の発言を許します。   〔林 弘二君登壇〕(拍手) ◆林弘二君 私は、日本共産党を代表して通告いたしました幾つかの問題について質問をいたしたいと思います。時間の関係で通告をいたしました問題の順序は多少変更があると思いますし、あるいはその中で幾つか省くこともあるかと思います。 まず、私は、いま県民の多くがその成り行きを心配して見守っている在日朝鮮人の帰国の問題についてお尋ねをしてみたいと思います。 日朝両国の赤十字社がコロンボで会談をいたしましたけれども、これが不調に終わりまして、8年間何の事故もなく円滑に進められてまいりました在日朝鮮人の帰国事業が昨年の12月以来中断されています。 この間、帰国事業は人道と人権の問題として全国の多くの人々、なかんずく新潟県民の各層から支持されてまいりました。そして公正な世論と関係者の積極的な努力によりましてそれが実って、去る9月28日日本赤十字社から朝鮮赤十字社にあてて帰国事業の再開のための手紙が出されています。県民は、この事態を明るいきざしが見えたものとして一様に喜んでいるところであります。しかし一面、この事業の歴史的な経緯や内外情勢から見ますと、全く手放しに事業再開を楽観視することは私はできないと思います。 そこで、この帰国の基地として国際的に注目されてきた本県の知事としての立場あるいはまた対岸との交流によってのみ本県の発展があるという本県知事としてのそういう立場から、私は、この問題について、今後の事態の推移を見ながらも、この事業が確実に継続再開されるようにあなたに努力を要請したいと思うのですけれども、これについてあなたの考え方をお尋ねしておきたいと思います。 また、努力が実って事業が継続再開となった暁には、従来この事業が円滑に進められるように積極的にあたたかい援助の手を伸べてこられましたけれども、なおこの際、今後ともこの事業について、受け入れその他についての援助の手が伸べられることを私は確信をしていますが、こういうこともあわせて知事の所見を伺っておきたいと思います。 さて第2に、私は、阿賀野川の有機水銀中毒事件についてお尋ねをしたいと思います。 阿賀野川有機水銀中毒事件、いわゆる新潟水俣病についての政府の見解が9月26日夕刻に科学技術庁長官から発表されました。一たびこの内容が伝えられますと、被災者たちはもちろん、地元民、学者、研究者、支援団体などが一斉に政府に対して不満の声を上げ、非難を浴びせ、失望の感に包まれています。知事も26日午後記者会見をされまして、政府の見解は期待はずれで納得できない結論だという趣旨のことを率直に語っておられます。私もこの政府の見解には不満どころか怒りさえ感じます。なぜならば、阿賀野川の水銀中毒問題については、幾つかの原因をあげながらも、最終的には企業の責任をあいまいにしています。 また、この政府見解は、今後の公害防止対策、被災者への補償、生活補償などについて被害者を納得させるに足るだけの具体的な補償を示していません。これは自民党政府が、住民を犠牲にしても、あくまでも独占資本の利益を擁護しようとする非人間的な政治姿勢をあらわしたものであり、さらには、政治が科学に挑戦していることを明らかにしたものだからであります。これでは政治不在と言われ、政治不信が残るのもあたりまえのことです。 知事は、早速上京されて、関係方面に積極的な働きかけをされたようでありますけれども、なおこの際、県民の健康と生活に責任を負う知事に対して、政府見解を踏まえた上で、その責任において今後どう対処されるか、知事の考えをただしたいと思います。 その第1は、政府見解の結論は、原因者をあいまいにしています。しかし厚生大臣が補足説明して、昭電の廃液がその原因の基盤をなしていると強調した上で、他の原因らしいもののすべてを否定し、さらに患者を公害病と認定しているという事実を重視しまして、この際、裁判係属中ではありますけれども、昭電に対して補償問題について積極的に働きかけをする意思はお持ちでないでしょうか、そのことについて最初に伺いたいと思います。 第2の問題は、医療や生活補償について、国に対してどういう点をどういうようにせよと要望しておられるのか、その辺を明らかにしていただきたいと思います。 第3の問題は、なお県の責任において被害者、被災者に対して今後どういう前進的な措置をとられるのでしょうか。この結論を踏まえた上での積極策をお示し願いたい、こう思います。 次は、第3の公害防止問題についてお尋ねをしたいと思います。 今度の水俣病の政府の見解やその措置について大きな不満や批判が起こっているのは、何よりも政府や自治体の公害防止、特に公害の未然防止について十分な対策のないことに基因していると私は思います。 さて、本県では、公害基本法の制定とからんで、従来の公害防止条例の全面的な検討を公害防止審議会に提起しています。特に未然防止に力点を置いていることをしばしば言明されてきました。これは必要なことであり、大切な点だと思います。そうした観点から見て、私は、この際、具体的な2つの典型的な問題を提起して知事の所信を伺いたいと思うのです。 その1つは、直江津火力発電所設置の問題であります。知事も御承知だと思いますが、いま最終出力95万キロワットの火力発電所を直江津の黒井地区に設置する動きのあることは先刻御承知のとおりであります。工場の谷間にあるここの住民は、いままでも各種の公害に悩まされてきています。この上さらに亜硫酸ガスの惨禍にあいたくないということ、これは住民の当然の要求だと思います。いま、この地区の住民は、固い決意で火力発電所誘致に公害をおそれて反対をしています。 さて、この火力発電所設置予定の場所は、半分は住居地域、半分は工業地域として昨年の3月28日に都市計画審議会の議を経て告示されたばかりの場所であります。用途地域をきめたばかりのその直後に、その住居地区のある場所に発電所を設置しようというものです。こんな道理にあわない話は私はないと思います。知事もそのことを知っておられるはずです。少なくともこの場所での設置は、用途地域の指定の関係からしても許すことのできない問題です。権限をもって関係者に通告すべきだと思います。そして関係住民の不安を解消すべきだと思いますが、これについての考えを聞きたいと思います。 2つ目の具体例は、新潟火力発電所であります。 現在、新潟の山ノ下の火力発電所は、出力50万キロワット、使用されている重油は、1日2,400トンぐらいだと言われています。そしてこれから発生する亜硫酸ガス発生推定量は150トンぐらいと言われています。現在でもかなりの被害が出ています。これが明年の秋には75万キロワットに増設される予定でいまその建設が急がれています。そうなった場合に、そこから排出される亜硫酸ガスの量というものは、おそらく200トンをこえるものではないかと推定できます。そうなったら私はたいへんなことだと思います。公害の未然防止という立場から、いまこそ知事は積極的にこれに対処すべきだと思います。電気やガスの事業については、法的ないろいろな関係があります。しかし、かりに法律上の権限がないとしても、政治的な具体的な対処のしかたは、幾つかその道はあるはずです。知事の考えをそういう意味でお聞きしたいと思うのです。 この2つの具体的な身近な問題というのは、私は道理にかなった問題だと思います。どんなに知事がいま公害防止を言われましても、こういうような具体的な問題の解決についてその成果があがらなければ、知事の言われる公害防止未然防止というものについては県民は信用しないでしょう。私は、そういう意味で、いま差し迫って目の前に具体的にこうやってある問題について解決する努力を、そしてその道を示すべきだと思います。しかも、いずれもこれは、問題を解決するのには道理にかなった合理性のある問題の提起だという点を踏まえての努力を要請したいと思うのです。 さて、第4に、私は、県の職員の賃上げ要求についてお伺いしたいと思います。 いま、全国の公務員労働者は、人事院勧告の完全実施の要求を柱にして、10月8日事態の前進を目指して実力行動に出る準備をしています。わが党は、公務員労働者の要求は当然のものとして積極的に支持します。 本県の場合、まだ人事委員会から具体的な給与勧告は出ていませんが、長年の経験からすれば、国家公務員に準じた勧告がなされ、閣議決定の線に沿って措置されることが予見されます。これでは事態の解決にはならないと思います。知事は、むしろ求めて組合と交渉し、要求をいれる努力をするように強く要求したいと思います。 今度の閣議決定は、低賃金と差別支配を一そう強く押しつけようとするもので、公務員労働者にとってはきわめて不満な内容です。それは第1に、きわめて低額の賃上げだという点であります。高級官僚を含めて全体の平均引き上げ率は、定期昇給3%ないし4%を含めても11%強であります。春闘における公労協関係引き上げ率は11.9%、民間の場合には13.5%、このいずれよりも下回っています。しかも5月実施を8月実施に値切ったことによって、実際には定期昇給を含めても9%にすぎないものとなっています。 勧告にあたっての標準生計費を見ると、東京で男子18歳の食糧費は、1日わずかに273円50銭です。第2に勧告は、上薄下厚――上のほうには薄くて、下のほうに厚いんだと説明されていますが、本俸だけで10万円以上の高級官僚には、6,500円から1万5,000円の引き上げを行ないながら、本俸1万8,000円から4万円台の大多数の労働者には、わずか1,500円から3,000円台の値上げであります。本俸だけで7.1%の引き上げでありますけれども、これを県の場合に置きかえてみると、その平均額は大体3,500円前後だと思います。その平均額の値上げに至らない職員は、おそらく全職員の7割近くもあるのではないかと思われます。 第3に、この勧告は、公務員労働組合の本俸を一率8,000円引き上げてもらいたいという要求にこたえていないだけでなくて、住宅手当を設けてもらいたい、期末手当、扶養手当を増額してもらいたいというような切実な要求を完全に無視しています。 第4に、勧告は、職務給、職階給を強めるとともに、勤務評定など労務管理体制の強化を給与面から保障するものとなっています。 さて、全国の公務員労働者は、いま労働者の切実な賃上げ要求を無視したこのような人事院勧告と、その勧告さえも踏みにじった閣議決定に反対して、10月8日実力行動を含む全国統一闘争を戦おうとしているのであります。 すでにわが党が明らかにしているように、現在、独占資本と佐藤自民党政府は、対米従属化の軍国主義的、帝国主義的復活の基礎を一段と強めるため、総合予算主義の名のもとに、公務員賃金の抑制と公務員労働者の5%削減をはじめ消費者米価、公共料金の値上げ、社会保障制度の改悪など、労働者と国民への搾取、収奪を一そう全面的に強めようとしています。 こうした情勢のもとで戦われる公務員労働者労働組合の闘争の前進は、何よりも公務員労働者の切実な要求の実現とともに、相次ぐ大幅な公共料金や物価値上げなどに見られるように、独占資本と政府の反人民的な総合予算主義の政策に対決するものとして、勤労人民の生活向上にとってもきわめて重要な意義を持つものとなっています。 ところが、いま県当局は、この闘争を押しつぶそうとして組合に対して警告を発し、おどしています。憲法で保障された労働者のストライキ権を剥奪し、その上に人事院勧告すら踏みにじるものに、労働運動を抑圧したり、弾圧したりする資格も権利もないと思います。 労働基本権を奪っておいて、その上にみずからの労働条件の決定も黙って当局にまかしておけという論議は、だれが見ても一片の正当性もありません。 憲法12条を引用するまでもなく、この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によってこれを保持しなければなりません。まさに正義は労働者の側にあります。事態の解決は弾圧にあるのでなく、すみやかに労働組合と話し合い、要求をいれる努力をすることこそその道だと思います。 重ねて申し上げたいと思います。労働組合と積極的に交渉し、要求をいれるために努力をされる御意思はないか、お伺いしたいと思います。 それでは、財政問題に関連してお伺いしたいと思います。 9月議会に提案されました追加補正予算の考え方の問題についてお尋ねしたいと思います。 今度の追加予算は、財源的には比較的余裕をもって編成されていると私は見ています。そのあらわれとして、知事説明にもあるように、本年度単独事業総額は、前年度最終予算を11億2,000万円も上回る72億2,000万円となっています。それには根拠があると思います。たとえば歳入の中心財源である地方交付税について見ると、当初予算編成当時調定したよりかなり大幅に増加したことは間違いありません。すなわち6月議会での交付税予算計上額は275億円です。現時点での調定見込みは304億1,800万円です。その差は29億1,800万円、これだけ追加財源として伸びたのであります。もっとも給与改訂分として15億円保留してありますから、14億1,800万円が今回の追加財源となっているわけです。 このように交付税が増加した要因というのは、過密過疎対策積雪度級地の是正あるいは事業費補正など交付税配分の算定基礎となっている各種の補正や単位費用の引き上げなどがあって、それらが本県に有利に作用し、少なくとも当初推算したよりも数億円が予想外のものとして増加していることは間違いないと思います。これを中心に若干の県税、雑件が加わって今度の補正予算の財源となっているものですが、知事は、この財源をもって内定のあった公共事業を全額計上する、単独事業費として特に交通安全対策僻地豪雪対策あるいは農業基盤整備に重点を置き、さらには若干の懸案事項について予算計上したと説明されています。 いずれも私は必要な事業だと思いますし、重要な施策かもしれないと思います。しかし、私がここに問題としたいのは、現行制度のもとでは、県民の要求に比してきわめて貧弱な財源しかない現状のもとであっても、少なくとも当初想定したよりもかなりの財源の伸びがあった今回の予算補正のような場合、せめてかねてから問題にされてきている、あるいは犠牲にされてきている県民の福祉に直接役立つ予算措置がなぜできないのだろうかということです。 たとえば知事も御承知のように、この前十日町のある生活保護世帯の未亡人が、生活苦から子供を殺して、みずから投身自殺をはかったという痛ましい事件がありました。これにはいろいろな問題が含まれていると思います。またしかし一方では、自殺できる人はまだよいほうで、子供のことやまわりの家庭のことを考えると、その自殺すらできないんだという人もあります。県内約1万世帯の生活保護家庭は、同じような苦しみの中でその苦しみを味わいながら生活苦と戦っています。 かりに、これらの人々に暮れに5,000円ずつ援護資金を出してやったとしても5,000万円です。あるいは生活保護費の中で見られている葬式代、これは8,500円ですが、いまどき8,500円で葬式は出せません。せめてこの8,500円の葬式代について足らない分をめんどうみてやったとしても一体幾らかかるだろうか。微々たる金にすぎないと思うのです。 また県民の底辺で苦労して働いている日雇い労働者の場合にいたしましても、北信越5県の中でいま盆暮れの手当てが最も低い状態に置かれている。せめてこれらの人々の盆暮れの手当てを引き上げる、かりに1万円増額したとしても、3,000万円あれば全県下の日雇い労務者に対してその措置ができるのです。 また常に問題になっている市町村に対する県の寄付金、こういうものにしても、ことしであればおそらく3億もあれば大体解消できるはずです。特に過疎地帯で苦しんでいる市町村に思い切った財政援助の道が開かれても悪くないと私は思います。 もちろん、これですべて解決できるとは思いません。ただ、こうした切実な問題に注目できないだろうかという一、二の例示をしたのであります。つまり会館ブームで幾つかの会館には援助したり、あるいは小出警察署の土地を購入したり、その他幾つかの事業を実施することを用意しておられます。これは決して私は間違っているとは思っていません。しかし、これらの会館の援助等であるとかあるいは警察署の土地購入とか。こういう問題はあと回しにできないのであって、いますぐ追加計上をしなければならない、しかし人間の命や生活苦や地方団体が耐えがたい貧乏に苦しんでいる問題は、これはあと回しでもいいんだというその考え方は間違っていると思います。追加予算編成に際して、あなたのこれらの問題に対する所見をお伺いしたいと思います。 それでは、あとの問題は省きまして、以上で質問を終わります。(拍手)   〔知事亘 四郎君登壇〕 ◎知事(亘四郎君) 林さんのお尋ねの件について、逐次私の考え方を御答弁申し上げます。 第1点が、北鮮帰還についてでございますが、たいへん残念なことには、コロンボ会談が決裂いたしまして、中絶しなければならなくなった事態でございます。自来、両赤十字の間で、この問題に対して何らか誠意ある交渉を続けてもらいたい、かように望んでおったわけでございますが、最近、また交渉が再開されるということでございますので、非常に私も喜んでおるわけで、心からひとつ今回は妥決してもらいたいものである、かように思って期待しておるわけでございます。 当然のことながら、幸い妥決いたしまして、そうして帰還業務が再開された場合は、いままで御協力申し上げてきた立場におきまして、これに協力をいたしますし、必要によっては、さらに前向きの姿勢で協力してまいりたい、かように考えておるのでございます。 それから第2の問題の阿賀野川水銀中毒の問題でございます。これは林さんのお尋ねでは、裁判になっておるけれども、補償問題について知事は何か積極的に動いたらどうか、そういう考えはないか、こういうお尋ねと承っておるのでございますが、私は、そういう形でお聞きしたのですが、あるいは私が林さんの真意を聞き違えたかもしれませんが、一応私はそういう形でお聞きしたのです。そういたしますと、これは非常にデリケートだと思うのです。端的に言って、問題が裁判になっておるだけに、私は入るに入りにくいのでございます。そういうふうに裁判になっておりますし、しかも政府見解というものが、御案内のとおり、その原因がぴたっとこれだと言うていないという点とからみあわせて、一体私が入るとすればだれにどう交渉するのか。おれじゃないよ、知らないよと言われたって、極端に言えばやむを得ない、へんな立場になっちまう。裁判で白黒つけようじゃないか、そういうつもりだと言われれば、それっきりになっちまう。だから、これはうっかり手をつけられない。 また原因をつくった企業者と、そうして被害者と――まあ、はっきりと原因をつくった企業者ということは、いまの政府解釈の段階におきましても、一応長期汚染の観点から見たときはこれこれだ、それは言うておるわけです。でありますからして、その点だけを取っても、企業者ははっきりしておるわけです。でありまするから、そういう意味で交渉を開くにいたしましても、私自身がそういう段階で入るべきかどうか。それ以前に、政府関係機関がそういう考え方に立ってまず相手方のドアをノックしてもらいたい、かように私は考えておるわけです。 そういうことで、関係官庁にも参りまして、そうした立場でひとつスタートしてもらえないか――私が直接これに入るということは、前々からも申しておりましたが、いわゆる原因をつくっておる企業者と被害者の両方から、ある時期がきて、話がまとまらないが、これを中へ入ってまとめてくれないかというような要請があれば、私は喜んでその要請に従って最善の努力をしなければならぬ、かようには思っておりますが、いまどちらからもそういう要請はないわけです。そこへ一体私がどうやって入っていくのか。ですから、知事という立場において現在交渉されるものは関係官庁しかない、こういう立場に立って、関係官庁に対して補償関係はむろんのこと、また公害病という立場において、いろいろ未然の防止策とかあるいはまた紛争が起きたときにはどう処理するとか、いろいろそうした立法措置が講じられるのだ、かように聞いておりますので、その立法措置が講じられるまでの間、あるいは半年かかるかあるいは1年かかるかわからないが、その短い期間であっても、被害を受けておる立場の人たちからすれば非常に苦痛である、しかもいま市町村と県の協力体制において行なっておる救護措置というものは、はなはだ貧弱である、やむを得ない、だからして、この際、そうした原因がはっきりしないということであるならば、当然政府の責任においてこれが法律をつくって、それらの人を法律に従って救済するというその法律ができるまでの間、救済措置は政府が責任をもってやはりいま直ちにやってもらいたい、こういう私の気持ちから、いろいろ関係官庁に対してお願いをいたしておるようなわけでございます。 まあ、ある程度理解を深めていただきまして、いろいろ事務当局に命じて検討をしましょうという確約を得て帰ってきておるわけでございまして、いまの段階で知事としてできることはその程度であって、それ以上のことはちょっとまだ時期じゃないんじゃないか、かように考えておる次第でございます。 それから直江津あるいは山ノ下の火力発電の関係でございますが、これはおっしゃるとおりいろいろ問題があるわけですが、直江津の場合は、一応地元民が納得したという前提で正式に誘致が決定されておるのだ、そうしてからの後にこういう問題が起きたのだ、こういうように私は聞き及んでおるわけなんでございまして、いずれの場合も、住民の健康と環境が汚染される、非常に重大問題であることには間違いがないわけです。 しかし、こういう問題は、私は極端に考えますと、すべてこうした公害の発生するおそれのある、しかも亜硫酸ガスのような人命に大きな影響があるというような企業は、企業者自体の感覚によるということであって、本来ならば企業者側もそういう公害対策というものをみずから考えて、万全の策を講じるということが当然過ぎるほど当然ではないかと思うわけであります。 県なぞが、やれ指導だとかなんとかいろいろくちばしを入れるということは本来むしろなくて、企業者自体の良心によってすべてそういうもののないように善処していく、これが私は現在の企業家にとって大事なポイントでないかと思っております。 そういう観点からいたしまして、いろいろ規制すべきもの、たとえば山ノ下の火力等の問題になりますと、使用する燃料をよいものにして、そういう発生源を少なくするとか、あるいはまた煙突を高くするとか、あるいは亜硫酸ガスを中和する中和剤を入れるとか、これは何かめんどうな名前ですが、アンモニアの吹き込み装置をするわけですが、そういうようないろいろなことをいたしまして、環境の悪化を十分防いでいる火力発電側の配慮がはっきりとわかっておるわけなんであります。 そういうことからいたしまして、まあ冒頭申しましたように、企業者の立場において、そういう公害対策ということをみずから考えて、これで地域住民に害を与えないという立場をとっていただかなければならないと思っておりますし、また、そういうように常に私はこうした問題については、企業家にもう直接そういうことは申しておるのであります。 でありまするからして、円満な解決―― 一方において、それじゃその火力電力は必要でないのかといえば、企業の立場からいたしましても、それによって地域の経済活動を活発にし、住民に大きな福祉を与えるという意味において、また大事なことでございます。火力発電の電力の不足というようなことは、いまではだんだんなくなりましたけれども、電休日なんという不名誉な名前があったくらいでございますからして、そういうことがなく住民の日常生活も、あるいはまた生産活動もともに常時行なわれるだけの電力供給というものは必要なんであります。 そういうことからいたしまして、やはり地域住民の方々の納得というものを十分得る最善の努力をして、結局公害がないのだという形のものをはっきりさせなければならないということなんで、それは企業家の責任だ、私はこう思っています。 それから次が、地方公務員給与の問題でございますが、いろいろお説がございまして、私もある部分につきましては、まことに困った問題だと毎年のように思っておるわけなんであります。人事院勧告をなされる、その勧告を完全に実施しなければならないという議論には、だれも反対はないわけなんです。ところが、問題が金の問題にからむわけでございますからして、勧告は尊重するけれども、実施は、そのまま実施はできない、こういう形でございまして、今回の場合も、やはり人事院勧告はなされたが、まだ閣議決定の段階まではなっておらないわけでありまするし、また県の立場からいたしましても、県の人事委員会からの勧告はまだ受けておらない、いずれ受けるたてまえにはなって、いま作業を進めておる段階だと思うわけでございます。 しかしながら、いろいろごまかして、いろいろなことを言うたって意味がないのでありますし、あなたもはっきりおわかりでしょうが、要するに、それに必要な財源、給与に必要な財源、それはやはり中央政府につながることにおいてのみ獲得できる金なんであります。でありまするからして、閣議決定と相まちまして、他の府県が一体どういう形にこれに対処しているかというようなことも当然参考にしなければならぬと思います。それらを含めまして、財政の許す範囲内でどう処置できるかということでありまして、中央依存の、交付税依存の県でありまするから、そこの関係を無視して県独自でということは、これはよほど県の財源が独自のものを持った県でないとできないんじゃないか、率直に申し上げまして、そう考えておるわけであります。 それから、次の財政問題等についてでございますが、林さんの言われるように、今回の提案理由でも御説明申し上げましたが、できるだけ単独事業の伸長をはかるという意味で、公共事業だけでなく単独事業におきましても、交通安全対策でありますとか僻地豪雪対策、農業基盤の整備等、いろいろ常に県議会で問題になっておる重要な問題でございますので、これらに対してできるだけ予算をつぎ込んで重点施策としてやっていこう、こういう編成をいたしたわけでございます。 しかし問題は、じゃ仰せのような住民福祉関係はどうか、こういうことでございますが、住民福祉関係ということに無関心では常にないのでございまして、福祉関係については、やはり民生部が中心になりまして、そうした考え方を予算にいたすように努力いたしておりますし、また、民生部のそうした要求予算につきましては、考えてみましても、ほとんど全部これを入れた、かように私は考えておるのであります。間違いがあるかもしれませんが、ちょっと記憶でございますが、民生部のそうした必要な予算措置は全部予算化したんじゃないか、かように考えておるわけです。 しかしながら、いずれにいたしましても、なかなか十分というわけにはいかぬ。それから小出の警察ですとか、あるいはまたどこでしたか、林さんからお話がございましたが、そういう形のものは、いわばそれは一ぺんきりの支出だ、こういう関係のものは、やはり事務処理上片づけるものは片づけていく、こういう考え方に当然なるわけなんでございまして、終わりのない福祉事業というような関係のものは軽視しておるわけではないけれども、やはり配分のときになると、片づけるものは早く片づけてしまっておきなさい、こういう気持ちに支配されるのはやむを得ない、かように思っております。 それを、ことしどうしてもやらなければならぬとかどうとかというようなことも、それは理屈の上ではやはりあるのであります。ほかの人からその必要な土地を買う約束をしておる、そうすると、ぐずぐずしておれば、来年の作付け問題、いろいろなことに関連してきてそうしたものがまただめになる、話がこわれる、こういうようないろいろなことがございますので、片づけるものは片づけてということで、そうした一時的な支出のものはやっておるのでございまして、福祉事業に対して軽視しておるというような考えは毛頭持っておらないわけでございまして、老人対策をはじめ、すべて福祉事業は前進させていかなければならないし、またコロニー設置等につきましても、意欲的に推進をしてまいりたい、かように思っておる次第でございます。 大体そういうわけでございます。   〔林 弘二君登壇〕 ◆林弘二君 幾つかの点では了解点に達したものもあります。ただ幾つかの問題でなおお尋ねしたいことがありますので、再質問したいと思います。 まず、帰国の問題についての積極的な御努力に関していま表明がありましたが、ぜひひとつ積極的にこれが確実に実現できるように推移を見ながら対処していただきたいと思います。 水俣関係の問題でありますが、私は、知事のお話にそのまま全面的に同意するわけにはいきません。しかし私は、少なくともいま知事がおっしゃったようなお考えで進められるのならば、その立場でぜひひとつそれなりに思い切ってやっていただきたいと思うのです。そのこと自身については、必ずしも同意できませんが、知事が考えられている筋で問題の前進があるという確信をお持ちのようですので、そのための努力はぜひともしていただきたいと思います。 ただ、1点申し上げておきたいのは、これから紛争処理やあるいは補償関係の法律ができてくる、そのできるまでの間の措置は政府が責任を持て、もしそういう法律ができれば、何らかの救済策ができるのだというお考えのようですけれども、知事からも御研究願いたいのは、いま大体政府が考えている補償の措置というのは、医療と若干の生活の補償に限られているようです。おそらくこれもまた法律が具体的になると、おれはそんなぐあいに思っていなかったというような、知事もびっくりされるような法律が出てくると思うのです、 私は、そう言っちゃ申しわけないのですけれども、こういうような少なくともはっきりとこれぐらいの問題の結論が出せないような政府のもとでは、知事が期待されているような補償の結論が出てくるはずがないんですよ。 そこで、私は、裁判の係属の問題ももちろんありますけれども、そういうことも踏まえながらも、しかし実際の問題として法律に期待することもさることながら、個々の問題でせい一ぱいひとつ努力していただいて、実をあげていただくように重ねてお願いをしておきたいと思うのです。 それから給与の問題、これは勧告は尊重するけれども、金がないという話で、尊重するけれども、やらないのだという尊重のしかたはどういうことになるのかよくわかりませんが、これは私は、少なくとも労働組合があるわけですから、とにかく積極的に話し合いをするということだけは重ねて要請しておきたいと思います。事態の解決のために努力をしていただきたい、こう思います。 さらに財政上の問題ですけれども、知事も御承知のように、今度の場合は、端的に言えば、あなた方が考えているよりも数億円金がたくさん出てきた、初め考えたよりも。そういう場合の金の使い方としてどうだろうか。数億円や数十億出てきたって、もちろん県民の要求から見れば、これはとてもどこにもかしこにも満足するようなものにはなりません。そのことは承知しています。しかし、少なくとも当初考えたよりは確かに数億円よけいに出てきたのだ、その出てきたものについての使い方、ここで一つ一つのことが間違っておったから、削ってこっちへ持ってこいというのじゃなくて、考え方の問題として、そういう出てきた金の使い方は、少なくとも人の命や生活のほんとうに困っているところにまず重点を置いてやっていくという考え方に立てないのか、こういう問題の提起です。これは考え方の問題として申し上げているわけで、そういう点を強調したつもりです。この辺のところは、なお今後も財政編成、予算編成等に関連して、なおこういう問題の提起を続けていきたいと思います。 最後に、公害の問題、これはもう少しお答えを明確にしていただきたいのです。これでは答えになっていませんね。未然防止という点ですが、端的に言って直江津の火力の問題、いろいろなことがありますけれども、直江津と新潟の2つの問題、これについて処置できないようじゃ、実際未然に防止なんかできませんよ。そこで具体的に申し上げておったのです。 直江津の場合、あなたは地元民が納得していたという理解のしかたをされておったようですけれども、そうでないのです。そういう意識があったとすれば、大間違いなんで、この前議会の委員会でも、向こうのほうへ視察に行った際に、切実な反対の陳情を受けています。いまももうあそこの住民の大多数は―― 一ぺん行ってごらんになるといいと思うのですけれども、たいへんな決意で反対をしています。これは、これ以上公害があったら、おれたちをどうしてくれるのだということから出発しているのです。 そこで、あの場合に、かりにそういう問題、反対の理屈、賛成の理屈、みんな除いたにしても、あそこの場合には住居地域が含まれている。都市計画の問題として、すぐこの前、去年の2月ですが、ここは住居地区で、ここは工業地区だ、こうやってあなたが会長である審議会にはかってきめた。きめたとたんに、二、三カ月したら、ここに火力発電所をつくる、こんなばかな話はないというのです。 公害を未然に防止するという観点からすれば、こんなにやりやすい問題はないのです。あそこの場所は、工場なんか建てられない場所なんです。建てるとすれば、もう一ぺん用途地域の変更をやらんならぬ。そんなことをやったら、権威のないことはなはだしいでしょう。きのう用途地域をきめて、きょうは工場を持ってくる必要があるから、また用途地域の変更だなんて、そんなばかげたことはないですよ。いまの条件でいえば、いろいろなほかの反対、賛成のことがかりにあって、そのことに両方耳をかさぬにしても、あの場所に火力発電所を建てられないでしょう。そのことはあなたも知っていなさるはずなんです。それならば、その場所には建てることができませんよとなぜ言えないのか。これからいろいろ複雑な問題が出てきますけれども、これくらいのことができなくて、どうして未然防止ができるか、こういうことを言うのです。これは簡単なことですよ。最も初歩的なこの問題が解決できなくて、どうして未然防止なんということが言えるのだというのがこの問題の私の論点なんです。これを知事からおわかり願いたいと思うのです。こんなところに建てられないのですよ。それが一つの問題です。 それから新潟の火力の問題について言えば、これまたいま増設して、来年は25万キロふえて75万キロになるというのはわかっている。いま建設中です。いまでもたいへんだ。それが25万キロになれば重油がたかれる。これはもっと煙が出てくる。これはもうわかっていることですよ。それならば、いまのうちに打つ手はないのか。あなたは幾つかの点をあげられました。何か煙突を高くするとか、もっといい重油をたくとか、こういうことはあると思うのですが、そういうことを、あとの問題にも関連しますが、あなたは企業家の良心にと、こう言われた。公害防止条例や公害関係の法律ができるのは、企業家の良心で解決できないから、こういうことを権力的にやらなければならぬと、こういうわけなんです。みんなあなたと同じように、企業家がみんな良心的で、ほんとうに自分で良心的にやってくれるのなら、こういう問題は起こらぬのだけれども、残念なことに、資本主義ですから、そろばん勘定ですよ。そしてどうしてももうけが先に立つ。だから、良心が鈍ってしまう。そこで起こる問題を処理するために、公害基本法をはじめ実施法や条例等というものをどうしてもつくらんならぬという問題があるわけです。 そこで、私は、企業家の良心、道徳教育を企業家にすることによって解決できるというなら、何かビラでも張って、道徳教育をやりゃいいと思うのだけれども、それじゃだめだから問題になっている。そこで現状そうなっているものだから、その企業家の良心が眠ったり、鈍ったり、腐ったりしているものについて規制しよう、押えるという役割りがあなたにあるのだ、それが未然防止のあなたへ負わされた責任なんだ。 そこで、いま現実に、たとえばサルファの少ない重油をたけばいいじゃないか、企業家の良心でたけばいいじゃないかと言ったって、たかないのですから、たかないならたかせるということであなたから話があってしかるべきだ。たとえば私は、あなたは東北電力とかけ合って、もっといい重油を使いなさい、コンマ1%ぐらいの重油だってあるじゃないか、サルフアの含有量の少ない原油だってあるんだから、そういうものを使いなさいということで約束させることだってあるでしょう。そういうことを良心にというのではなくて、あなたがそういうことをやらせるという点で未然防止に積極的な努力をすべきだ、こういうことを申し上げているのです。 良心の道徳教育は、これはだれかからやってもらうことにして、あなたの場合は、良心に期待する道徳教育じゃなくて、企業ができないものをさせるという立場でどうするかという、これをお尋ねしたい、こう申し上げたのです。   〔知事亘 四郎君登壇〕 ◎知事(亘四郎君) 直江津の場合、そういう都市計画に基づいて住宅地域として指定してある場所にそういうものをつくって、しかも現在住宅があり、住民がおるというお話でございますが、私も実は実情を見たわけではございませんが、ただ一応この火力発電所をつくるについて、一番最初に誘致を決定する場合に、市においてこれが了承されて決定されたのだ、こういうことを聞き及んでおるわけなんでございます。そうしますと、そういうところに決定することをきめたという市当局並びに市議会というものが、極端に言えば判断を誤っておったんじゃないか、こういうことになろうかと思うわけなんです。 なお、御趣旨よくわかりましたので、ひとつ地元と対策について、未然に防止できるように話をもっと進めたい、話を聞いてみたい、かように考えております。検討さしていただきます。 それから新潟の場合もそうでございますが、先ほど申しましたように、対策としてできるだけ――技術的には、まあ低イオンの重油のいいものをたくとかいろいろありますでしょう。あるいはまた煙突を高くするとか、そういう技術面はできるだけそれをやるというようにして、住民に公害を及ぼさないような配慮を何としてもやっていただかなければならないわけであります。 ただ、私が申し上げましたのは、現在の企業家の資格として、企業の種類によって公害関係を持つ企業家は、企業家の良心として、少なくともそういうことを考えてやるのでなければ、現代企業家の資格はない、こういう意味を申し上げたわけでございまして、それのみによってということではないわけです。私は、何としても一番の大もとは、企業家のものの考え方というものがやはり一番大事なんだ、こう考えておるわけなんであります。私は、もともとそういう官僚支配というものはきらいでございまして、あれせいこれせいと言って、右向け左向けと言うて支配する、こういうことはできるだけやりたくないというのが私の気持ちでございます。   ――――――――――――――――― ○議長(高橋重雄君) 次に、江口金吾君の発言を許します。   〔江口金吾君登壇〕(拍手) ◆江口金吾君 質問の通告の順序に従って質問いたします。   〔議長退席、副議長着席〕 最初に、広域市町村圏と県の構想についてお尋ねしたいと思います。 自治省は、昭和44年度地方行財政重点施策の中で、広域市町村圏構想を明らかにしております。これは、最近における関東、東海、近畿の太平洋沿岸から瀬戸内海沿岸にかけての人口増加と、その他の地域の人口減少、これに伴う過疎・過密の激化に対処するため、地方における生活環境施設と生産条件を整備しようというものであり、最近特に目ざましい交通通信手段の発達によって都市、農村の住民生活は次第に広域化し、これに伴って広域的な行政需要も増大してきております。このため、住民の日常社会生活圏を基礎として、数市町村からなる広域市町村圏を設定し、国県、市町村が一体となって、一市町村だけでは処理でき得ない多くの行政課題を、圏域の特性に応じた計画に基づいて取り上げ、地域の振興をはかろうというのがそのねらいと思われます。 さらに、圏域内の地域産業の振興はもちろんのこと、生活、教育、文化水準を引き上げることによって人口の大都市集中を抑制でき得るとしております。交通通信網の整備、医療など社会厚生施設の充実、教育文化施設の整備を当面の急務として、全国で300ないし400の広域市町村圏をつくることが目標のようでございます。 ところで、この構想は、昨年秋同じく自治省が発表した地域開発の拠点づくりの地方中堅都市構想との関連について、いささか疑念を抱くものでございますが、最近、特に深刻化してきている過疎対策には前向きの姿勢をとっているように思われるのであります。今回の広域市町村圏構想では、広域的な行政体制を整備し、関係市町村がその振興策を総合調整し、計画を策定していくならば、これこそ局地的な地方中堅都市育成構想よりは一歩前進であると思われるのであります。 県内におきましてはすでに三条中心に3市2町4村が県央地域総合開発促進協議会を発足しております。交通災害共済制度の一部事務組合による運営並びに中小企業の団地化の推進等、自治省の描く広域市町村圏構想そのままの形成で着々と事を進めております。 現在、過疎・過密対策の必要性、緊急性は十二分に指摘されておりますが、これの具体策についてはあまり発表されておりません。広域市町村圏構想がこのきめ手になるとは言い切れないのでありますが、地域社会を中心とした対策を自治省が打ち出したことは評価されてよいと思うのであります。とかく国の目が大都市再開発にばかり注がれているとき、この構想を後進地域開発、特に裏日本地帯をどう位置づけるか、またこれを機会に県内市町村の地域開発計画を再検討し、この構想のもとにこれが推進の体制をとるべきと思いますが、知事並びに関係部長の答弁をお聞かせ願いたいと思います。 第2点の質問でありますが、県の消費者行政についてお尋ねいたしたいと思います。 今日、物価上昇の抑制策が皆無の状態の中にあって、消費者保護行政の充実の国民の要望が高まってきております。先般開かれた県消費生活協議会においても、特に消費者活動の拠点づくりと消費者行政の一元化を望む声が強く出され、知事も先般の記者会見で、行政機構の一元化と生活センターの設置と、意欲的な姿勢を示されたことは好感を持って迎えられております。 去る5月、国の消費者保護基本法の施行とともにようやく消費者行政が緒についたばかりであり、いままでの産業保護行政から消費者側に立っての行政事務処理が困難なことも十分察せられますが、県のこれからの消費者行政の進め方について問題点を取り上げ、知事の所信をお聞きしたいと思います。 第1に、消費者行政を進めていく上に具体的な目標、よりどころをどこに求めていくかということであります。具体的な個々の問題を処理するにあたって、担当者がその処理態度を消費者の立場に立ってということを機械的に固執して、個々の消費者の意見を盲目的に通すことと錯覚していたり、あるいは地元商工業者の振興のために都合よく消費者を教育し、抱き込むことを目的として行動する場合があります。したがって、日常の一つ一つの行政を推進していくに際しての目標は何といってもその地域の消費者の生活実態を的確に把握することによって、その地域の消費者の持つ問題点も知り、その問題点を長期的視野に立って解決しようという行政態度こそ望ましいと思うのであります。地域消費者の生活もその地域、地域で種々の特色があるものでありますが、個々の行政の具体的よりどころは、まずその地域の生活実態と問題点を正確につかみ、そこに行政の焦点を合わせ、集中していくべきであると思うのであります。 北海道庁の消費者行政が価格問題に著しく傾斜しているのは、北海道地域の消費者にとって最大の問題が北海道価格の解消にあるように、地域的特色をつかみ、これに精力的に重点を置いていると思われ、これこそ典型的な例と言えると思われるのでありますが、新潟県においてもこの点について再考の要があると思うのであります。 次に、総合調整の問題に触れますが、消費者行政には総合調整という仕事がつきものでありますが、それがはなはだむずかしい問題になっております。もともと国の行政機構が縦割り式で、それぞれの部局は大きな予算と強い権限をもって行政を進めている。したがって、総合調整という横糸を通そうとする消費者行政にはその難問題を解決する方法を持たなくてはならない。このことは、本県においても消費者行政連絡会議がなかなかうまく運営されてきていない点ではっきりしております。 これについての対策は、兵庫県がある程度行なっているように、予算の配分権をもって総合調整する方法もその一つの方法と思われますが、それ以上に、知事という首脳陣の強い支持を背景とすることが最も重要であると思うのであります。 また一面、大切と思われることは、調整を行なう担当者が原局の担当者にはない広い視野と識見をもって各原局を説得することが望ましいと思うのであります。この点についてはどうお考えでしょうか。 また、消費者行政部門には少なくとも部長級以上の発言力の強い人を配置することも過渡的な解決方法であろうかと思います。要は、首脳部の理解のもとにすぐれたビジョンとアイデアを持ってこそ総合調整の実があがるのであり、このことは、本県のこれからの消費者行政に一番留意しなければならない課題であると思うのであります。 次に、消費者教育に触れますが、消費者行政が効果をあげるためにも、あらゆる職業、あらゆる階層の人々の間にこれらの問題に対する認識と理解が生まれてこなければならないと思うのであります。兵庫、東京、横浜と、地域住民の消費者問題に対する関心の高い地域に比べ、本県の消費者意識のあまりにも低いのもここに一因があると思うのであります。 このたび、新潟西保健所が消費者を直接教育して保護の実をあげようという計画は、大きな進歩だと市民より期待されておりますが、私は、この計画に一段の充実をはかり、ただ保健所の持つ機構から、食品関係のみに限ることなく、総合的な消費者教育を実施することが望ましく、これについても県が積極的に取り組むべきであると思うものであります。 また、わが国の消費者教育が先進諸国に比べてかなりのおくれが認められておるし、体系的な内容も乏しいと考えられ、経済の急速な発展と変動、消費生活の急激な多様化に伴ってわが国も現在の保護取り締まりのワクを越えた消費者教育の強力な推進が必要となってきております。このため、本県においても、学校教育における消費者教育によって広範な対象者に実効ある教育を行なうことも時宜を得ていることと思われますが、これらについてもお尋ねしたいと思います。 最後に、消費者組織の育成でありますが、県消費者協会はじめ各消費者団体、協同組合、婦人団体などで賢い消費者づくりの事業が進められておりますが、その活動はそれぞれの組織の特色を生かしたものがあるとはいえ、相互間の協力、消費者の意向を行政に反映させる活動についてなお不十分なものがあるやに感じられます。これについても、現在各種団体が県の各部局に分散している面からも効果があがらない原因を来たしている点考えられますが、一元化の推進とともに組織の育成をどのようにはかっていくのか、考えをお聞きしたいと思います。 以上の点について実効性ある知事並びに関係部長の答弁をお求めしたいと思います。 最後に、生活保護法の運用解釈についてお尋ねしたいと思います。 老人福祉週間が始まったある日、某新聞紙上にこのようなことが載っておりました。昨年の羽越水害で殉職した消防団員だったむすこの見舞い金が収入とみなされた老夫婦が、生活保護を打ち切られ、孫のめんどうを見ながら、不自由なからだにむち打って今日も日雇い労働に出ているという内容でありました。この方は北蒲原郡黒川村に住んでいる方で、老夫婦は昨年の羽越水害で一瞬に家と働き手のむすこ夫婦を失ない、8歳と4歳のお孫さんと4人とり残されました。それまでリュウマチで療養していたおじいさんは、病弱なおばあさんと両親のない孫2人をかかえ、生活保護を受けながら働かねばならなくなったのであります。 そんなとき、昨年11月と今年2月2回にわたり国と県の消防協会から、むすこの見舞い金として合わせて217万円もらいました。だが、孫の養育費、教育費に充てられると喜んだのもつかの間、これは生活保護法の解釈から、自立更生を目的としたものでないという理由でこの4月から生活保護を打ち切られたのであります。おじいさんは痛む足を引きずりながら、孫が大きくなるまで、できるだけこの見舞い金を減らすまいと災害復旧工事に出てその日の生活資金をかせいでおりましたが、最近はからだの不自由さから休む日も多くなり、とてもそれだけでは一家4人食べていけない。おばあさんは、見舞い金を全部使って、私たち年寄りが先立ってしまったらと思うと心配でたまらないと法の冷たさを恨んでいるということであります。 生活保護法の運用解釈は、厚生省社会局長通達の実施要領に基づいていると聞いておりますが、このような立場にある方には前向きな解釈で善処してあげてしかるべきだと思うのであります。知事の思いやりのある処置と答弁をお願いいたしたいと思います。この点については答弁によっては再質問をしたいと思います。 以上をもって終わります。(拍手)   〔知事亘 四郎君登壇〕 ◎知事(亘四郎君) 江口さんのお尋ねの問題でございますが、第1点は、自治省が来年度からひとつこういう形のものをやっていきたいという構想を発表したわけでございまして、これは御案内のとおり具体的な内容がまだわかっておらないわけなんでございます。したがいまして、広域市町村圏という構想でございますが、察するに建設省の生活圏中心都市構想、あるいはまた経済企画庁の広域生活圏、こういう構想と大同小異のものではなかろうか、こう思うわけでございます。 要は、お説のとおり過密・過疎対策等の関連もありまして、地域の方々の福祉増進のためにいろいろと日常社会生活圏を広域化していく時代の要請がございます。その時代の要請にこたえた生活圏をつくって、そしてその生活圏の中に公共事業を中心とした経済・文化の施設を整備し、そして集中・過疎、過密・過疎の問題の解決にも資しながら住民の福利向上をはかっていこう、こういうことがその趣旨ではなかろうかと考えておるわけでございますが、現在の日本の各地域の実態からいきまして必要なことであり、ただ構想だけでなくて、将来これに裏づけされる骨や肉や血を十分通わせてもらうようにしなければ何もならないわけであります。どうも政府は何とか計画、何とか計画という計画ばかり一ぱいつくるくせがあって困るのですが、これでも、建設省がつくり、経済企画庁がつくり、今度また自治省がつくる、こういう――こういうことはほんとうに悪いこととは言わぬかもしれませんけれども、われわれどれが一体ほんとうか迷ってしまって困る、こういうように考えられるのであります。 それに対して私どももそうした受け入れ態勢をしていかなければならないわけですし、それからまた御指摘のような三条市がいち早く県央都市、こういう形で燕、加茂、栄村、下田、あの地域の方々がみんな一緒になりまして、そして県央経済圏をつくっていく、こういう考え方に立って、3年か4年前だと思うのですが、いち早くそういう構想を立てまして、そして隣接町村に呼びかけて協議会をつくっていろいろ共通した問題に対していま仕事を進めておるわけなんでありまして、自動車関係の保険のことやあるいはまたその他の問題に対して共同して仕事をしておる。非常に敬意を表しておるわけであります。こういうことも、ほんとうに自治省の構想の内容がはっきりいたしまして、それが適切であるという形になりますれば、現在の三条なら三条が持っている構想というものをもっと伸ばしてやるように積極的に協力していかなければならないわけであります。 そういう意味で、自治省の計画の内容が明確になって、そして地域の実情に合う、豪雪地帯を持つ新潟県、そしてまた山間僻地を多く持つ新潟県、農業生産が主体である新潟県というような、そういう実情にちゃんと合った構想のもとにおいて、これが処理されていかれることを私は望んでおるわけであります。 それから、第2のお尋ねの消費者行政の関係でございますが、大体お聞きしておりまして江口さんのお考えまことに適切なものばかりでございまして、特に消費関係でございますので、日常生活と非常に密接につながっておる。そしてまた現在の経済情勢から起こってきておりまする物価問題の現象等と最も関係のある問題でありまして、重要な問題でございます。したがいまして、これの行政的な、消費行政についての関係は、消費者をできるだけ保護するという観点に立って、すべてどうあらねばならぬかという考え方で進めていかなければならない問題でございます。一元化でございますとか、あるいはまた消費者教育、あるいは組織の育成、幾つかにお分けになってのお話でありますが、それぞれごもっともな形でございまして、御趣旨に沿うようにして運営の最善を尽くしていきたい、かように考えておる次第でございます。 なお、細部にわたりましては、企画部長さんのほうから何かお話があればしていただくことにいたします。 それから、生活保護法の運用問題でございますが、生活保護法というものが憲法の基本法に準じてできたわけでございますが、その憲法の中の文句で気に入らないことばが1つある、御案内のとおり。最低の保障、これが生活保護法のほうに出てきまして、やはり生きておる。したがって、最低生活を保障するのだといいますと一体最低生活というのはどれが最低生活なのか、毎年のように物価の変動その他からいって最低の基準というものを変えてきておるわけでございますが、そこに問題がありまして、いまの御指摘のような悲劇が起きておる。 私、思い起こしてみまするに、あの遺族法を制定いたしましたときのことでございますが、あの遺族法を制定いたしましたときに、遺族にそうした、遺族年金手当等を支給する、それが、おとうさんがいないのでありますからしておかあさんと子供だけの家庭というものが多いわけです。そうすると、一応生活保護の対象になっておる方が非常に多かった。ところが遺族関係の金が入りますとそれを収入とみなして、そして生活保護法のほうから減らしていく、こういうことがありまして、とうとい最高の犠牲を国のために払った人に報いるにはあまりにも冷酷じゃないか。こういうことから遺族法のそうしたいろいろな手当に対して生活保護の規定によって全部取り除くということはよくない、こういうことでいろいろ除外例を設けて緩和していった実例があるわけであります。 しかし、今回の先ほどの江口さんの消防関係の話は、たまたま何かそれに似たような感じを持ったわけですが、法律の上では遺憾ながらそれは除外するという形の規定がない場合においてはやはり取り扱いの上からいって適用になった、かように思うわけでございまして、たいへんお気の毒だと思います。したがって、それらはその法の運用の面において、また社会福祉関係の方がその実情を調査して、そうしてこういう形なんだが、これは法律からいけばこうだけれどもこうやってやりたいという相談があれば、私はある程度緩和されていけるのじゃないだろうかとひそかに思っておるわけです。幸い、4月から何か一応全額収入と認めなくて、そのうちある関係の費用だけは別途だと認めるような解釈に改正されたと聞いておるのでございますが、そういう方のものはまたよく実情と照らし合わせて、法規制というものは厳正でなければならないわけでございますけれども、その運用の妙というものもまたあるのじゃないか、かように考えるわけでございますので、よく検討させていただきます。なおまた詳しいことはひとつ民生部長さんからお話をしていただきたいと思います。   〔総務部長小川 亮君登壇〕 ◎総務部長(小川亮君) 広域市町村圏の問題につきまして御指名がありますので、お答えいたします。 知事が非常に詳しく御説明しましたので、あまりつけ加えることもございませんが、全国的に過密・過疎の問題がこの数年叫ばれておるわけでございますが、過密の対策としましては道路とか水とかあるいは住宅とか、目に見える問題が目前にありますので、金さえあればすぐやれるということでございますが、過疎対策といたしましては人口の減少を食いとめて、そしてその地域の方々に豊かな生活をしていただくということ、これまた金を使っていろいろやりたいことがありますけれども、しかしまとまった計画、構想として一体どういうものが一番重点的にいいであろうかということになりますと、なかなかむずかしい問題でございます。 そこで、関係各省いろいろ考えまして期せずして出てきた構想というものが、知事から申し上げました自治省の広域圏、市町村圏問題をはじめとして通産省、建設省、農林省その他から、ともかく市町村の行政区域の差があっても1日で行き来できる、生活できる範囲を1つと考えてそれで重点的にやっていこうではないかという構想が期せずして出たわけでございます。 自治省としては昨年中堅都市構想を出しましたが、これはそういった地域の中心となる5万なり10万なりの都市を考え、そしてその周辺の幾つかの町村を考えまして中堅都市に対して重点的な施策、たとえば文化施策であるとかあるいは下水道の整備を特に重点的にやるというようなことで、その施設を周辺の人にも利用していただいて、そして過疎対策に役立てようという構想であったわけですが、ただ中堅都市だけを育成するのではなかなか思うようにいかないということで、江口議員からおっしゃいましたような広域市町村圏というような構想に脱皮したわけでございます。そういうことでございます。 また、県内におきましても御質問の中にありましたように県央の地域でひとつまとまってやろうということもありまして、こういったことは国の段階あるいは地方の段階でそれぞれ必要性を認めておるということでございます。問題は、知事が申しましたように構想が幾らあってもこれに対する血となり肉となるものがなければだめだということでございます。 自治省としては、大蔵折衝もありますけれども、これが固まれば、りっぱな計画のところに対しては起債なりその他の財源を付与しよう、また各省に呼びかけてあるいは道路の問題、あるいは港湾の問題その他重点的に投資をしてもらおうというような気持ちでおるようでございます。これが実を結びますと一つの過疎対策になると思いますが、この計画全般につきましては企画部で検討しておりますが、市町村の立場がございますので、私もこういった方向につきましては十分迷わぬで済むような方向で前向きで対処してまいりたいと思います。   〔企画部長佐藤貞三君登壇〕 ◎企画部長(佐藤貞三君) 広域市町村圏はただいま総務部長からお話がございましたので、省略させていただきます。いずれ私どももこれから作業を重ねていきます長期展望の中で、県内の各地につきまして一日生活圏とでもいうべきものの具体的な構想をお示しする時期がこようかと思います。 それから、消費者行政につきましてはもう江口さんのほうが私どもより該博な知識の持ち主でございますので、一々拝聴いたしまして非常に感心いたしましたのでございますけれども、御指摘のように新潟県の消費者行政も地域的な特異な課題をかかえているはずでございます。それはいろいろな面がございますけれども、1つは新潟県が置かれております立地条件の上で冬季の雪の問題でございます。 もう一つは、農産物収入の70%が米に依存しておるような稲作の単作地帯であるというようなこと、それに伴いましての食生活その他あるいは生鮮食料等の冬季の価格差の問題等いろいろあろうかと思います。これらの問題はそれぞれ新潟県の特異性でございますので、これらを一つ一つ解きほぐしていく必要があろうかと思いますし、それから次に、私どもはすべてある意味では消費者でございますけれども、従来の行政のセクションがそういう生活の面あるいは消費者サイドで組織機構ができておりませんので、生鮮食料品と申しましても大部分は農林水産物になるわけでございますが、中央卸売り市場までの行政はございますけれども、それから先は食品衛生等のサイドからの見方はございますが、流通その他の細部にわたりましての行政機構というものは皆無と言ってもいい状態でございます。 それから、そういう非常に複雑な機構の中に置かれておる消費者行政をどうやって調整するか、あるいは一元的に運用していくかということで庁内に行政連絡会議は一応持っておりますけれども、その辺の運用が必ずしも当初意図したような形で動いておりません。したがいまして、一つ一つあげますと、総務部の地方課に消費とうらはらの貯蓄奨励が置かれておるとか、あるいは生活学級というのが文書広報課にある、そういういろいろな問題がございます。私どもは、企画部自体法定部でございませんから、自治法のどこをめくっても企画部ということばはございません。だから、もし皆さまが御要望になる消費者行政の一元化をほかの部に所属させるというようなことになれば、企画部はいつでも解散してもこれに応ずる心がまえでおります。したがいまして、他の部局からもそのような積極的なお心がまえで御協力いただこうと思いますけれども、知事が先般記者会見で御表明になりましたように、この消費者行政を新潟県の消費者のサイドからできるだけ一元的に運用できるような方向で明年度の組織機構を検討してまいりたい、かように考えております。 それから、団体組織の強化の問題につきましては、昨年の5月に消費者協会を発足させたのでございますけれども、今後その末端のすみずみに至るまで、結局市町村、さらにあるいは基本的な生活集団でございます部落、町内、団地というような形で問題を具体的に処理できませんとほんとうの組織化はできませんので、今後は私どもの段階からさらに市町村、さらにその下部の組織というような方向での組織化につきまして努力を重ねてまいる所存でございます。   〔民生部長矢野達夫君登壇〕 ◎民生部長(矢野達夫君) 生活保護の問題につきましての御質問について若干補足させていただきたいと思います。 御質問のケースは、昭和42年9月1日に生活保護を開始いたしまして本年、43年の4月1日に廃止した、7カ月間の生活保護の期間があったケースでございます。 それで、御質問の問題につきまして申し上げますと、羽越水害の当時におきましては、被保護世帯の自立更生のために与えられます金銭で制度的に支給されます保険金であるとか補償金につきましては、これは運用上収入として認定することになっていたわけでございます。その点につきましては先ほど江口議員のおっしゃったとおりでございます。こういう運用につきましてはまことにお気の毒な状態にあったわけでございますが、本年の4月からこういう点につきまして改正されまして臨時的に受給される制度的な補償金でありましても、その世帯の生業費、家屋補修費、教育費などに使われる場合におきましては、最高おおむね50万円から60万円を収入として認定しないというような方針が打ち出されております。ただ、災害によりまして、直接にたとえば家屋のような場合に災害復旧、あるいはからだをいためたための医療費、こういうものにつきましては、それに必要な経費はすべて認定しないということになっております。 それで、具体的なケースについて若干申し上げますと、この世帯につきましては新潟県消防団員等公傷組合消防償恤金条例に基づきまして、またその他いろいろなものがございますが、合わせまして217万円でございます。217万円の金が支給されております。それからそのほか、これは収入の認定とは関係ないものでございますが、天災融資の金であるとかあるいは自作農資金とか合わせまして51万円の金を借りておるという状況にございます。そういったような事情で、この4月以前の収入でございますが、当時4月以降に行なわれましたような制度が以前にありましても、これだけの収入がございますればいたし方はないということに、これはたいへん残念でございますがならざるを得ないというふうに考えております。 なお、現在、当時おりませんでしたこのなくなられた方の弟さんも帰ってこられまして、親子仕事をしておられまして、貯金をおろして生活をしなければならないというところまで至っていない。十分に収入の範囲内で生活できるというような状態にあることをアフターケアとして把握をいたしております。 なお、生活保護に関しましてはいろいろときびしい面もございますが、運用の面におきましてできるだけあたたかい措置をとってまいりたい、かように考えております。   〔教育長小野塚忠義君登壇〕 ◎教育長(小野塚忠義君) 消費者行政の問題で教育行政に関する面、お答え申し上げます。 教育委員会としましても消費者の教育ということにつきましては深い配慮を払っておるところでございますが、教育と申しますと社会学校、学校教育と分けられますが、社会教育のほうは、これは男子も関係ございますが、主として御婦人方でございます。婦人学級というようなもの、また婦人会のいろいろな活動というようなところでこういうものを取り上げておるわけでございます。 なお、学校教育の面では、小学校からまず社会科というような教科で生産、運搬、なお流通の機構、また物価のきまり方というようなことについて、要するに経済活動の基本的事項の理解、まずこれがなければならぬわけでございますから、こういうことについての基本的な理解を生徒に持たせるということについて小学校、中学校、高等学校、段階の上がるごとに詳しい教育をやっておる、こういうことでございまして、こういう教育によりまして消費物資をいかに選択するか、合理的な経済生活をいかにするかという教育、何といっても子供ですから基本的なそういうことはそういう教科でやっておるわけでございます。 なお、道徳というような教育におきましては、消費生活に関係しましては社会連帯意識というものの高揚をはかって、そして消費者として一体何をしなければらぬか、そういう教育をはかる。そうしますと、やはり子供は子供としての経済生活もございますから、そういう面で自分の消費というものの合理化をはからせる、なお将来賢い消費者にするという基礎はそこでできるわけです。そういう教育をやっておるということでございます。 なお、家庭科というのがございますが、この家庭科なんかは、一面消費者教育をやっておると言ってもいいくらいかもしれません。家庭科の生徒の研究発表なんかを聞いておりますと、子供たちも真剣に消費生活のことを考えて衣食住ということの合理化を考えておるわけでございますが、こういうようなことで、合理的な生活設計の樹立教育と申しますか、というようなふうにも言い得るのじゃないかと考えておるわけでございます。男子のほうでは、理科だっていろいろのものについて、物資というものの経済的なものの見方、選択のしかたというものがこの中にも入り込んでおるわけであります。 学校教育ではそういう基礎的な教育をやっておりますが、われわれとしましては学校の指導者、先生方がこの教育に当たるについては新しい感覚を持ってもらわなければなりませんから、そういうことで研修会または講習会を開きましてこの万全を期しておるわけでございます。 なお、県のこの関係の部局とも担当課の者たちは常に連絡をしまして、そういう面でも落ちのないように努力しておるということを申し添えたいと思います。 ○副議長(志田保君) 暫時休憩いたします。    午後0時 休憩   ――――――――☆――――――――    午後1時28分 開議 ○議長(高橋重雄君) 休憩前に引き続き会議を開きます。引き続き県政に対する一般質問を行ないます。 まず、佐藤熊太郎君の発言を許します。   〔佐藤熊太郎君登壇〕(拍手) ◆佐藤熊太郎君 私は、9月県議会にあたりまして、自由民主党を代表して県財政の見通し及びその他主要な諸問題について知事並びに関係部長の御所見を承りたいのであります。 まず最初に、財政問題でありますが、本議会に提案されました9月補正額33億1,867万余を含め補正後累計総額は1,356億八千余万円となりこれは、その予算規模においては、全国第5位という大型予算になっておるのであります。 今議会提案の補正予算の特徴は、公共事業費の内定のありました額の全額計上と、県単独事業につきましても、本年度見込まれる事業を全額計上するというかつてない試みがなされているのでありますが、今後の県財政の問題のうち、次の諸点について伺いたいと思うのであります。 まず最初に、本年度末までにおける特交を含む交付税の最終見込みと県税の税収見込み、あわせて12月県議会に提案される人事院勧告等による職員のベース・アップ関係支出の予定額のその引き当て財源をどこに求めるのかをお尋ねいたしたいのであります。 次に、明年度予算編成にあたり、大蔵省は地方交付税税率の引き下げを企図していると聞いておりますが、交付税に対する依存度の大きい本県の場合、その影響は他県よりもきびしくなると思います。その見通しについて、また先月より政府では各府県に対し、予算の大型化に伴う過熱防止の警告を出しておりますが、本県の場合、その点はどういうふうになるであろうか。さらに今議会には、各種団体の会館に対する補助が集中している向きもありますが、これら各種会館につきまして、今後は県独自の総合会館の設立を検討し、建設並びに維持管理の効率化をはからなければならない時期にきていると思うのでありますが、県当局にはどのような構想がおありでございましょうか。 最後に、道路貸付金についてでありますが、県のこの措置は、市町村に非常に喜ばれておる制度でございますが、さらに市町村は貸付金の利子補給はともかくといたしまして、ワクの拡大を切望しているのでありますが、来年度においては、貸し付けワクの拡大が期待できるかどうか、以上、財政関係の諸点について伺いたいと思うのでございます。 次に、総合農政と関連をいたしまして、山間地農業の振興について伺いたいと思います。 最近、米の需給事情が変化いたしまして、総合農政への転換が強く言われ出してまいりました。本県農政も再編成を迫られる時期にきておると思うのでありますが、本県の場合は、平場地方においては稲作を中心とした大圃場による基盤整備及び省力栽培等が軸となりこれに対処していかなければならないと思いますが、今回は、特に山間地農業振興について伺いたいと思うのでございます。 山間地における農業は、所得と生産性の低いことから、労働力の流出と兼業農家の増加をもたらし、農業は必然的に粗放化されている現状であります。この状態を打破するためには、何よりもまず農家自体の経営改善に対する自主的、積極的意欲が必要であることはもちろんでございますが、山間地農業に対し、さらに国、県が助成措置を講じて、総生産の拡大をはからなければならないのでございます。 そのために、まず農地の流動化と基盤整備を充実させることにより、適地適作主義を徹底しなければなりません。また経営の拡大に対する総合的助成措置と機械化、技術の普及確立が必要であり、さらに協業集団の育成強化がなされなければならないのでございます。 県下全農家戸数の50%、全耕地面積の40%を有するこれら本県山間地農業は、他産業及び平場農業との格差がますます大きくなるばかりであります。したがって、その対策にあたっては、農地、農林、土木、民生、衛生、教育の各般にわたります公共事業の補助率の引き上げ及び補助ワクの拡大など諸施策を強力に推進しなければならないと思いますが、県は、今後どのような施策をお持ちなのか、所見を承りたいと思います。 次に、阿賀野川有機水銀中毒事件でございますが、先般の林議員での質問に対して、知事、詳しく御答弁なされましたので、私は、今後知事がどのような方策でこの問題に対処されるか、それをひとつお聞きをしたいのでございます。 先般の政府声明には、長期的には鹿瀬電工であろうというような非常に不満足な、私ども自民党政府が出された声明でございまするが、自民党の党員である私も非常に不満足を覚えておるのでございます。今後、被災者の身になりまして、知事は、なお一そう大幅な県費支弁等、あらゆる施策を集中いたしまして、これらの問題に真剣に取り組み、被災者の身になってこれが解決をはかっていただきたいと思いますが、林議員に御答弁になられた以外のなお方策がおありでございましたら、この機会にお聞かせをいただきたいと思うのでございます。 次に、公害問題でございますが、最近の新聞におきましても、東京都は東電大井火力発電所建設にあたりまして、会社側と美濃部知事との間に、燃料の重油の含有量、いわゆる硫黄の含有量に対する協定まで、こまかいところの配慮をなされて協定書を結んでおるようでございます。 従来、硫黄分3%以上のものを燃料として使用しておったものを、大井におきましては、1%以下でなければならない、こういうこまかい点まで気を使つておるようでございまするが、東京都はそれでもまだいけない、こういうことで議会ではこれが承認になっておらないようでございます。 またもう一つの例をあげますと、京葉工業地帯におきます出光石油精製工場におきましては、この大気汚染の亜硫酸ガス排除のために、1つの工場で五十数億円という巨費を投じまして亜硫酸ガスの排除に努力をしております。 先ほどの林議員に対する御答弁の中で、知事は、それは企業者の良心に待ったほうがいいだろうというようなお話をされたように承っておるのでございまするが、私の聞き違いでなければそのようにとったのでございまするが、私は、この際やはり新潟火力発電所が第3期工場を増設するにあたり、また直江津に新しく火力発電所を建設するにあたり、これらの事態を踏まえ、新しく公害問題に対する知事の考えとして、東京都の例のごとくこまかい配慮の協定書を結ぶ必要があろうと思いまするが、知事のお考えをお聞かせいただきたいと思うのでございます。 私は、去る4月、県議会の命によりまして行政視察の一員といたしましてアメリカに参りました。そのとき、ニューヨーク市におきまして同市の公害防止関係を主管しておりまする大気汚染管制センター長がはっきりと申されました。いまはニューヨーク市はこんなにきたないが、われわれは大気汚染防止のためにあらゆる努力を傾注し、そうして10年後にもう一度おいでいただくならば、赤々とした太陽が燃えて、澄み切った空気のニューヨークに変えておきますから、ぜひもう一度おいでをいただきたい、このようにはっきり申しておられましたが、亘知事にもこのような気慨で大気汚染防止に取り組んでいただきたいことを切望するものでございます。 次に、災害復旧事業の進捗率について伺いたいのでございます。 7・17、8・28水害の連続災害に悩まされました本県でありまするが、本年は、幸いにして大きな災害もなく、豊かな実りの秋を迎えることができましたことは御同慶の至りでございます。今後いつ襲うかもしれない天災に備えて、災害復旧事業の進捗率は可能な限り高めておかなければならないのでございます。またその意味から、災害復旧事業のうち大きなウエートを占めます河川と農地の復旧状況についてお聞きしたいのでございます。 第1に、土木施設災害関係でございます。私の手元にある資料では、第2年度を迎えました8・28水害関係では、本年の9月30日現在の進捗状況は、県工事関係で復旧額105億、率といたしまして60.2%、市町村工事関係では29億、66.4%であります。これではまだ十分な効果が得られないと思うのでございます。 県は、9月補正で4億の災害復旧債務負担行為を取りつけるべく提案されておるのでございますが、これにより年度末での復旧速度は80%程度になろうと聞いております。それでもなお河川関係だけを見ましても約2割、工事費にして31億円程度が未復旧分として残されることになるわけでございます。このほかに一昨年の7・17水害関係でも約8%、工事額にして5億4,000万円程度が繰り越されることになるわけでございますが、この復旧の見込みについてお尋ねを申し上げたいのでございます。 また荒川、加治川については、それぞれ本年度末、44年度末での復旧進捗率をお聞きしておきたいのでございます。 次に、農地の復旧状況について伺います。 県の本年7月15日現在の調査によりますと、出来高平均88%で、未復旧面積は459.7ヘクタールとなっております。なお、本年度の復旧予定面積は312.8ヘクタール、44年度以降に持ち込まれる未復旧分は8%となっておるのでございます。罹災農家にとりましては、作付が間に合うかどうかは生活設計の基礎をなすものであります。 われわれは、災害以後、作付が間に合うよう極力総力をあげて復旧工事を急ぐことを申し上げてきたのでございまするが、これに対し県は、一部地域を除き大体7割程度は作付可能と答えられてきたのでありまするが、実際、本年度の作付に間に合わなかった地域、その内容、あわせてこれら農家に対する生活設計の指導、就職あっせんが満足にいったかどうか、その辺の実態をつまびらかに御答弁を願いたいのでございます。 さらに、来年度の作付にどうしても間に合わない地域があるかないか、またそうした間に合わない農家がもしかりに出たならば、それに対する県の援護措置、生活指導をどのような形でやるのか、詳細に御答弁を願いたいと思います。 次に、経済企画庁で策定中でございます新しい全国総合開発計画について伺いたいと思います。 全国土の有効利用と均衡ある発展をねらったといわれる企画庁の新しい全国総合開発計画が公にされたのは本年4月でございます。ようやく新潟が新産都市の歩みを始めたとき、またこのような総合計画が始まる、計画が出されるということにつきましては、いろいろ問題はありましようが、私どもは、ただこの計画を見ておるというだけではなかなかがまんができないのでございます。 けさのテレビにもやはり出ておりましたが、太平洋岸を軸とした新しい日本の総合計画であるように受け取られるのでございます。しかし、こういう作業がすでに相当深く進んでおるにもかかわらず、県からは、県議会に対していまだ何らこういう説明がなされておりません。やはり地域開発は、住民不在であってはうまくいくはずがないのでございます。できるならば県議会を通して、この60年までの新しい構想が国の作業で進んでおるならば、いち早くその片りんたりとも県議会に報告をし、県議会の協賛を得ながら進めなければならないと思うのでございまするが、この点について企画部長から御答弁を願いたいと思うのでございます。 次に、交通網の整備とこれに関連して新潟空港の整備拡充などについてお尋ねをいたしたいと思うのでございます。 初めに道路の舗装の問題でございます。本県の道路舗装の延長は、ここ数年急速に伸びてはおりますが、近県と比較いたしますると、必ずしも満足の状態ではございません。昨年の3月末の統計によりますと、一般国道の舗装率では新潟が69%あまり、山形が70%あまり、富山が80%あまりというような状況でございまするし、一方地方道については新潟が25.2%、長野が30.7%というような状況でございまして、全国平均と比較いたしますると、本年3月末の統計では、一般国道については全国平均75.8%に対し本年は本県は77%で、若干は上回ってるようでございまするが、一方地方道については全国平均24.6%、これに対し本県は19.9%という非常におくれが目立っておるのでございます。一方、人家連檐地区はますます増加いたしまして、この意味からも道路舗装のスピードアップが要請されておるのでございます。 本県の場合、せめて全国平均の舗装率に追いつくにはどのくらいの期間を要するのか。これは地方道関係に対する御答弁をお願いをしたいと思うのでございます。また必要な予算の概要がお聞かせいただければ幸いでございます。 自動車の伸びは、ますます急速に加速度的に増加をいたします。36年に本県で6万台、それが42年度になりますると21万5,000台でございます。率にいたしまして、36年度を100%とした場合、356%という驚異的数字で伸びておるのでございます。これが45年度にこのままの姿で推定いたしました場合、40万台という驚くべき台数に増加することが予想されるのでございます。 このような自動車の伸びに対し、本県の道路行政は、関係部課長の努力にもかかわらず、やはり自動車の伸びよりもはるかにおそい。これはひとり本県のみではございませんが、これを打開するには、やはり公共事業費を大幅に投入して、道路関係予算をふやす以外に方法はないと思います。 また、小さいことでございまするが、知事は、常に人命尊重をうたっておられます。この人命尊重の意味から、本年度歩道の整備に非常にお力をさいていただきましたことは感謝にたえませんが、なお歩道を整備した場合、舗装しない歩道がかなり方々に見受けられるのでございます。歩道を舗装いたしませんと、やはり歩きにくいので、車道を通る人が非常に多いわけでございます。この辺、非常に小さいことでございまするが、今後の行政指導の面におきまして、歩道の予算を大幅につける場合にも、やはり歩道を人間が歩きやすいように必ず舗装をしていただくようにお願いをいたしたいと思います。 次に、辺地道路についてお伺いをいたします。単県の辺地道路整備にあたりまして、当初予算で1億円を計上してございまするが、各土木事務所で集約した要求額が約倍の2億に近い数字にのぼっておるのでございます。市町村の要望額が非常に強いのでございます。本県辺地、特に山間部道路のおくれを解消するために、来年度の予算において、この1億円に増額をどのぐらいなさる御意思があるか。まだ先のことでございまするが、一応お見通しがございましたら、お聞かせをいただきたいと思うのでございます。 なお、関越高速自動車道路の問題でございますが、主都と新潟を結ぶというよりも、むしろ日本海側と太平洋側を結ぶ大動脈でございまして、この重要路線の早期実現を願っておるのは、ひとり新潟県民だけではございません。知事は総力をあげまして、この関越自動車道路をできるだけ早く新潟まで開通するように、精一ぱいの努力をお願いをいたしたいと思うのでございます。 次に、弥彦の有料道路でございます。 総工費13億6,000万円に、さらに今回2億七千余万円という額の補正を提案してございます。今後、奥只見の電発道路、その他の事業を設計するにあたりまして、当初において精細に設計をなし、補正というようなことをできるだけ避けるように事務当局に御命令になってはいかがと思うのでございまするが、この点についてお考えをお聞かせをいただきたい。 また、予算のみに気をとられまして、岐阜県飛騨川の大惨事を惹起するがごときが本県にないように、特に工事の防災の面に気をつけられるように御配慮をお願いいたしたいと思うのでございます。 最後に、新潟空港の拡充整備の問題について伺いたいと思います。 これにつきましては、運輸省の所管で新潟県議会の問題ではございませんが、知事は、新潟空港促進期成同盟会の会長であられるはずでございます。すでに地元から、この滑走路の拡張反対というようなことがちらほら新聞に見えております。空港の整備は一日もゆるがせにすることはできません。対岸のソ連のハバロフスクから新潟までの航空路を新設しようというような動きもあります。 これらのことを踏まえまして、知事は、できるだけ住民の意思を尊重して、そうしてこの佐渡空港の1,500メートルの滑走路が一日も早く完成し、そうして安全な飛行場として使用できるよう最大限の努力をお願いいたしたいと思いますが、知事は、この空港の期成同盟会長として、この空港整備をどのような心がまえでこれから進めていかれるか、また地域住民をどのような方策で納得させるのか、それらについて御所見を承りたいと思います。 以上で私の質問を終わります。(拍手)   〔知事亘 四郎君登壇〕 ◎知事(亘四郎君) 佐藤さんのお尋ねの件でございますが、第1点が、今後の財政運営についてでございます。9月補正後の所要額でございますが、給与改定見込みで20億円、これは一応現在の段階では8月実施という昨年の例をとって計算の基礎といたしました。見込額で20億円のうち、一般財源が15億円、その次に勧奨退職手当、共済組合負担金等の人件費で10億円、それから道路関係でありますとか信用保証協会損失補償等で約5億円、合計いたしまして35億円でございます。これに対しまして、一般財源では約30億円が見込まれておるわけでございます。一般財源は、普通交付税の保留いたしております分が15億円、特別交付税で約5億円、県税で約5億円、その他利子収入等約5億円、これで対処してまいりますれば、健全財政の堅持も可能である、かように考えておる次第でございます。 なお御指摘のように、大蔵省の考え方と申しますか、大蔵大臣の諮問機関であります財政制度審議会で地方交付税制度について検討を行なっておる、こういう件でございますが、これは、私どもといたしましては、非常に重要な関心事でございまして、かりにいま32%のものを30%に落とすというようなことになりますと、県の収入に20億円以上の響きがくるわけでございます。そういうことからいたしまして、この膨大な地方の財政需要、そうしたものに対して十分な配慮なくして、ただ単に国家財政の硬直化というような観点だけに立ってものを考えられるというようなことがあってはならないわけでございます。 そういうことから、私たちは、全国知事会議におきましても、問題を重視いたしまして、そうした一方的な大蔵省の審議会の意見というものに対して、私たちは私たちとして対処して、そういうことのないように地方に十分な財源を与えて、そうして手当を済ませた後にそうした考え方になるなら別でありますが、しかし財源を与えないでおって、国の都合だけで現状のまま直ちに率を変えるというような暴挙は絶対に承服はできない、かように考えておるわけでございます。 次に、総合的な会館というような御意見がございましたが、現在各団体、団体によってそのおい立ちも、また運用もいろいろ違っておりますので、それら別々の会館がたくさん次から次へとできてきておるというようなことで、はなはだ不本意ではありますが――お説のような総合的なものということも、まことに御意見としてごもっともだ、かように考えるわけでございまして、これらの点につきましては、ひとつ十分調査検討いたしまして進めてまいらなければならないと思っております。 それから市町村道の貸付金の問題でございますが、これは第1次が6月、それから第2次が9月というように、おのおの配分を今日完了いたしておりますが、御案内のように、この制度は5年間の継続によって事業を進めてまいる。毎年9億で45億でございますが、いろいろこれに対して、受け取る各市町村につきまして、なかなか十分な配分ということはできないわけでございまして、不本意ではありますが、やはり継続的にやっていく以外にはないわけでありまして、できるだけこの制度を理解していただいて、この制度のもとでやっていただきたい、かように考えております。 ただ、この額の増額でございますが、いま9億でございますが、これをできたらもう1億ふやして10億にしたい、かように考えていろいろ話をしております。しかし自治省、大蔵省等の困難な関係もございますので、県の立場だけでそう簡単にきめていけないというようなところの困難さがあるわけでございまして、一応増額は困難だ、しかし、できたらもう1億ふやせるならという気持ちでいろいろ折衝をしている、かようにお考えをいただきたいと思うのでございます。 それから総合農政、特に山間地農業の振興についていろいろ御意見がございました。本県といたしましても、農業関係につきまして、特別開発事業では半額の補助率となっておりますけれども、特に基盤整備には20%、その他の整備にあたっては10%の県費つけ足しをいたしまして、また県単事業でも山林には5%のかさ上げなど補助率アップにつとめておるわけでございます。 そういうことで、やはり山村振興という目的からいたしましても、また今後の総合農政の考え方からいたしましても、特に新潟県のような広い地域にはそうした山村地がありますので、これらの事業のワクを拡大するとかあるいはまた基盤整備の採択基準の引き下げなど、そうしたいろいろな問題があるわけでございまして、これらに対しまして、できる限りの努力をいたして、地域の振興をはかってまいりたい、かように考えておる次第でございます。 次が水俣の問題でございますが、先ほど林さんのお尋ねに対してお答えいたしましたわけでございまして、なおさらに何かということでございますけれども、特別これということもございませんが、ただ私が一番心配し、そうあってほしいと思うことは、当然のことながら、法律で救済するということをすべてはっきりとしてもらえば片づくわけなのでございますが、法律でこれを救済するにいたしましても、その取り扱いの範囲をどこに線を引くかということになりますと、先ほど林さんが御指摘になった心配はついてくるわけなのでございます。 そういう意味からいたしまして、法律での救済ということは一応期待という段階でございますから、早くやってもらわなきゃならぬ、かように思っておりますが、それまでの間であっても、現在行なっておる――これは何といいますか、先ほど公明党の江口さんからお話があった生活保護の保護法との関係もあるわけでございまして、生活保護法で取り扱うという形になっても困るし、また医療給付、医療手当という医療法の関係で取り扱っても、そこまで手が伸びない、こういう問題点がありますので、医療法と生活保護法のその半々になる地位のものであるという解釈のもとで何か手当を出してほしい、出してもらわなければ困る、こういう立場に立って現在交渉を進めておるわけでございます。 まあ、ある程度理解をしていただいておりますから、できるだけ早く結論が出ることに現在期待をしておるわけでございまして、その他のことにつきましては、やはりもう根本的の解決は、私、先ほども申しましたように、大きな補償問題がはっきり表面に出てくるという段階になることでないと、なかなか問題の解決にはならないわけでございまして、その補償問題がはっきりと表面にどう出てくるか、だれがどうやって持ち出すか、こういうことになるわけでございまして、なかなか問題がむずかしい。私はほんとうにむずかしいと思うのです。まあ、いろいろ自分個人の意見を申しますると、これは裁判になっているだけにむずかしい、こう考える節も私はほんとうにあるのであります。 そういうことで、なかなか問題はむずかしいと思いまするけれども、できるだけこの問題については慎重に、そうして何らかの形でその問題の糸口を出していく。それにはやはり関係官庁の力によって何かしら話の糸口をそこに持ってくるようにしていただく以外に手がない、そういう考え方でひとつ話をしてくれ、こういうように私は関係官庁に強く要請をいたしておる、かような筋合いでございます。 次が災害復旧の関係でございますが、これは、ひとつ土木部長さんとそれから農地部長さんから、それぞれの立場で御説明をしていただきたいと思います。 ただ、私といたしましては、一応できるだけ早く完了する、こういうことで計画的に――御案内のとおり45年完了ということが計画の筋書きになっておりまするけれども、今年度それから来年44年度には一応90%まで完了させる、こういうことでございますが、実質的にはもう44年度で完了したという形まで進めてまいりたい、かように考えて、いろいろ土木部を中心にいたしまして、河川の関係その他について鋭意力を用いておるような次第でございます。 また農業関係におきましても、やはり耕作地の復旧、同時に復旧しない分に対するそれらの農家の方々の生活の関係でございますが、幸いにいたしまして、いろいろ就職のあっせんというようなことに手を回しまして、罹災された農家の方々が生活不安のないようにということから、どうか話があったらひとつ申し出てくれ、こういうようにみなそれぞれ各町村と連絡をとってお願いをしておったのでありますが、幸いなことに、そうした生活がそのために困る、職業をこうせいというような申し出はいまのところまだ一件もございません。そういうことで、非常に根強い生活力に対して、私は敬意を表しているような次第でございます。 次が新しい全国総合開発計画の問題でございますが、これは一応経済企画庁で考えておるものを見ますと、札幌、仙台、福岡ですか、そうしたようなぐあいで、御説のとおり太平洋側が非常に重視されて、日本海側がそこに入っておらない、こういうことはまことに不満足なわけでございますから、さっそく私ども東北開発の関係ブロック会議におきましても、十分それらの問題に対しまして立場を主張いたしまして、そうして少なくとも日本海側として新潟が入らないということはあり得ないじゃないかという主張をしてまいっておるわけでございます。 同じ新潟県にいたしましても、その開発計画につきましては、いろいろこまかい山間地はどう、平場はどう、海はどう、交通はどう、そして重要な輸送路である鉄道の関係はどう、道路の関係はどうと逐次分けておるのでございますが、ただ拠点開発という関係になりまして、新潟を取り入れないということはあり得ないじゃないか、こういうことで、その拠点開発は、やはり日本海側では新潟を取り入れなければならない、そうして重要港湾の指定を受けておる新潟港が、外国貿易の港としての取り扱いを、やはり計画では十分にこれを盛り込んでおらないというような幾多の不満があるわけでございまして、それらに対しましては、県の立場といたしまして、十分そうしたものを取り入れてもらうように運動を続け、今後もブロック会議等を通じまして十分に善処して、おくれをとらないようにしていかなきゃいかぬ、かように考えておる次第でございます。 それから道路舗装の問題でございますが、非常に道路舗装がおくれておる。何と申しましても、舗装する延長というものが、もうとうてい他府県で見られないような、やはり大県であるだけに長いものでありますし、そうしてまた経費も、ばく大な約400億円というものがかかる、こういうようなことでございますので、これをいまの舗装率で進めますと、やはり10年もかかるわけでございます。 そういうことで、できるだけ人家連檐地区を優先的に取り扱って、地域住民の迷惑をできるだけ削減していかなければならぬ、かように考えておるわけですし、なおまた、歩道の舗装ということは、私、ちょっと考えてもみなかったわけでございますが、――まあ、考えてみないというのもおかしいのですが、歩道の舗装ということは、大体いまのところは、歩道をつくればすぐコンクリートで敷き詰めていくということになって、歩道ができているように感じておるのでございますが、そうでないものがあったとすれば、なお改めていかなければならないわけでございまして、十分検討さして、ぜひ御趣旨に沿うようにやってまいりたいと思っております。 関越高速自動車道の計画でございますが、これはもうたびたびここでも立って皆さま方に御報告申し上げてまいった問題でございます。5道優先という基本的な考え方があるわけでございますけれども、やはり肋骨線として、これは新潟と東京を結ぶ高い経済効率の道路でございます。 したがいまして、効率の少ない地域の5道よりも、むしろこれを優先して考えるべきである、こういう立場に立って、いろいろ関係当局あるいは国会等において、その趣旨陳情を申してまいったのでありまして、私は、必ず近い将来におきまして、この問題に対してある種の計画は立てられて、具体化がなされるような立場になる、かように確信をいたしておる次第でございます。 それから有料道路の関係でございますが、これはボーリングを十分にやって、基礎調査をやったわけでございますが、なかなか1メートル置きというわけにもいかないようなことで、たまたま地質の弱い、そしてまた石の風化しておるような予測しておらなかったような地域ができた、たいへん残念なことでございまして、何といたしましても、飛騨川の二の舞いを阻止するというためからも、やはり安全性は十分確保していかなければならない、そういうことで、今回これに対する手直しの予算をお願いして御承認いただきたい、かようにお願いしておるわけなのでございますが、ただやはり、むだな経費を節約しつつ、かつ一方において、十分道路の機能を発揮し、そして安全を保持していくというような配慮を払いつつこの工事を進めてまいりたい、かように思っておる次第でございます。 新潟空港の問題でございますが、これもなかなか重要な空港でございまして、一応46年までには完了をさせる、こういうことに計画はなっておるのでございますが、予定計画よりも仕事のほうがいささか進んでおる、仕事を進めておるからして、それに対する予算をひとつ、予定以上に仕事がすでに進捗しているのだから、その予算を獲得するようにというように頼まれて、再三にわたって運輸省航空局のほうへ折衝を続けてまいっておるわけでございます。 今日、1,500メートルのB滑走路を完了させなければならないわけでございますが、いま空港整備という問題について、地域的に各空港とも非常に力を入れておるわけでございまして、特に私ども新潟県といたしましては、一応言うておることは、対岸のハバロフスクと新潟を直行でお互いに乗り入れる。これを考えてみますると、やはり1,500メートルでは不安なのでございまして、何としても2,000メートル必要であり、また2,000メートルに拡張するだけの準備があらかじめできておる。また土地所有者の方々に対しても、それらの了解がそれとなくなされておる、こういう段階でございますので、ぜひその最終目的の姿に持っていくようにしなければ、りっぱな空港とは言えないわけなのです。 いま2,000メートル以下の空港であっては、国際空港的な資格が認められない、これが通説になっておるわけでございまして、かりに東京に飛んできた飛行機が、何か気象条件その他によって東京に降りられないという場合でも、もう新潟が2,000メートルの滑走路を持っておれば、そうしたジェット機でも、大型のものであっても直ちに安全に新潟に降りられる。そういう姿にしておくことが、相互の関連において便利なことでもあるから、ぜひそういうぐあいに滑走路を2,000メートルにまで延ばすことをひとつ認めてもらわなきゃならぬ、こういう運動をしておるわけでございます。 たまたま地域の方々に反対があるやに聞いておりますので、その影響というものがどんな形で地域の方々に影響しておるか。まあ、やかましいといえば、ないよりはやかましいことは確かでございますが、ただ私たち今日、新潟へ少なくとも2往復ほしいと言っても現在は1往復、日に1回なのであります。ですから、その間、この飛行機で妨害される時間を考えますと、日に時間的に見れば、せいぜい10分か15分のものではなかろうか、かように考えておるわけです。 将来、これが拡張されて、多く利用されるようになれば、当然そのやかましい騒音がさらに大きくなるわけであります。同時にまた一方において、じゃ何も危険がないかといえば、飛行機事故というものはどこにもある。したがって、その事故に対するやはり十分な保安施設的なものが講じられなければならぬ、また講じておかなければならないわけです。 そういうことからして、いろいろ電波誘導施設等を完備いたしまして、そうしてそうした不測な事故のないようにしなければならない、かように考えて整備計画を急いでおるわけなのでございまして、できるだけ地域の方々の反対という形のものに対しても御理解をいただいて、ひとつ協力をしてもらっていこう、かように考えておる次第でございます。   〔企画部長佐藤貞三君登壇〕
    ◎企画部長(佐藤貞三君) ただいま経済企画庁で作業中でございます全国総合開発計画の試案の問題につきまして、私にという御質問でございますので、お答え申し上げます。 御承知のように、この春、企画庁の事務当局試案として提示されましたものは、全国の――まあ、非常に比喩的な意味でひもと玉というような表現をいたしておりますが、先ほど知事からもお話がございましたように、北は札幌から南は福岡に至るまでの、いわば大拠点とこれを結ぶ情報、通信、交通網の整備、これが第1点でございますし、次に、各地に大型の、産業開発のプロジェクトを起こすというような2点がそのポイントでございます。いままでそういう全国一本の非常に抽象的な表現のものが試案として出されまして、いわば言いっ放しの聞きっ放しみたいなかっこうで審議会では使われているようでございます。 本日の新聞に出ました私どもの一番関心の深い地方ブロックごとの計画案でございますけれども、これも昨日の特別部会に提示されただけでございまして、本日ようやく新聞で私どももその内容を知った次第でございます。これらの問題の全貌が明らかになり次第、いつでも機会を見まして御説明を申し上げたいと考えておったのでございますけれども、この中旬以降にブロック別の試案についての説明の機会があるそうでございますので、それらの資料を入手次第、皆さま方にも御配付申し上げまして、十分御勉強いただく機会をつくりたいと考えております。 以上でございます。   〔農地部長重見 通君登壇〕 ◎農地部長(重見通君) 農地の復旧につきまして御説明をいたします。 被災をいたしました面積は4,032ヘクタールでございます。河川等のつぶれ地となったものが289ヘクタール、したがいまして復旧を要する面積が3,743ヘクタールございました。7月の15日までに88%、3,282ヘクタール復旧をいたしまして、植えつけもほぼ同じ数の3,245ヘクタール実施いたされました。残りました面積が460ヘクタールでございますが、その後も復旧の工事のほうは続けておりますので、相当数進捗をいたしておることと思っております。本年度中に460ヘクタールのうち312.8ヘクタールという数字を復旧したいと思っておりますが、なお馬力をかけまして、でき得るならばこれよりも面積をふやしたい。312.8ヘクタール本年度中に復旧をいたしますと、来年度に約150ヘクタール残るわけでございますが、これもぜひ来年度の植えつけには間に合わせたいと思っております。しかしながら、残されてまいりました場所は、非常に復旧しにくいところでございますので、努力はいたしますが、やはり復旧ができないところも残ってくるかと思います。 なお、植えつけできなかった方々に対する措置ということでございますが、今年度復旧できなかった面積が相当数まとまっておるところは黒川村、関川村、三川村それから新発田市の菅谷地区でございます。これら植えつけできなかった方々のことを考えまして、6月の27日と7月の29日との両日にわたりまして、農林部と一緒に町村の担当の方に来ていただきまして、いろいろお話をうかがいました。代替作物の種子の手配とか、そのほかいろいろな御相談がございました。 私どもとしては、できる範囲でこの御相談に乗ったわけでございますが、一番心配をしておりました生活にお困りの方、これにつきましては、この両日とも各町村から数字をつかんでおいでにならなかったという次第でございます。特に7月29日には、お帰りのときに、今後そういう方があったら県のほうに連絡をしていただきたいと申し上げてございますが、いままでのところは何の連絡もないので、まあ賃金を取ったり、その他でしのいでおられるのかと思っております。 とは申しますが、刈り取りがもうほとんど終わります。こういう営農が一段落ついたとき、あるいは雪が降り出して土木工事の賃金が取れなくなったとき、そういうときに生活にお困りの方が出てくるかもしれない、そういうふうに考えておりまして、私どもといたしましては、関係各部に連絡をして、そういう際には十分な御相談に乗るようにいたしたい、そういうふうに考えております。   〔土木部長重野 伃君登壇〕 ◎土木部長(重野伃君) 最初に、災害復旧の進捗状況でございます。これはいろいろ数字をおあげくださいまして御説明いただいたわけでございますが、8・28並びに7・17水害の復旧見込みでございます。8・28水害は、今年の事業を全部実施いたしましても、まだ2割残るわけでございます。約30億でございます。これは大体来年1年、それから再来年と2年にまたがるわけでございますけれども、実質的には来年度の予算がつきましたら、再来年度の分は予算外義務負担等によりまして、44年度中に完成する予定でおるわけでございます。 それから7・17水害の復旧状況でございますが、これは来年度以降約6億残っておるわけでございます。残額にいたしますと、約9割残っておるわけでございまして、これは来年44年度には完全に消化したいというふうに考えておるわけでございます。 それから荒川の災害復旧関係の進捗状況でございます。これは43年度では大体50%完了予定でございます。それから44年度は70%、それから加治川のほうは43年度は71%、それから44年度は90%になっておりますが、いずれもできるだけ予算外義務負担によりまして、先食いをやって、できるだけ早くやりたいというふうな考えで進んでおるわけでございます。 それから第2番目の交通網の整備に関する舗装問題でございますが、新潟県の舗装のパーセンテージが全国よりもおくれておるということでございまして、どのくらいの期間でこれが全国平均にいくかというようなことでございますが、毎年県でやっておりますところの舗装事業は、大体の進捗率を申し上げますと、4%から5%の進捗率を見ておるわけでございます。したがいまして、金額で申し上げますと、大体1年分ということが言えるわけでございます。 これでどれぐらいの期間がかかると平均にいくかということでございますが、これは毎年県道への編入をやっておるわけでございます。そういう関係もございまして、またその年の予算も大体はわかっておりますけれども、変動も若干あるように考えられますので、そういうことなしということで考えますと、大体2年か3年ぐらいで全国平均には追いつけるのじゃないかというふうに推測しておるわけでございます。 それから舗装の予算関係でございます。これは私のほうでやっております舗装は、いろいろな費目がございまして、一番大きな事業として投資しておりますのは、公共事業による舗装新設でございます。それから特殊改良第4種という舗装、簡易舗装をやっておるわけでございます。そのほか単県の舗装をやっておるわけでございまして、43年度では、これらを全部合わせまして18億1,000万の投資をすることになっております。42年度が約16億6,000万、それから41年度が13億9,000万、40年度が8億5,000万、39年度が7億3,700万ということで、予算のほうも大幅に――大幅といいますか、一、二割程度毎年ふえているように考えられておるわけでございます。 それから舗装のない歩道でございますが、これは歩道を新設いたしまして、そのままになって、舗装をやっておらないところが地方に行きますと相当あると思います。たいへん御迷惑をかけておりますので、この方面につきましては、設置と同時に舗装をやるように心がけていきたいと思っております。 それから辺地道路の1億円の増額の問題でございます。これは相当長い期間1億で据え置いておるわけでございます。この増額の必要性というのは、私も十分認識しておるわけでございまして、これは来年度の当初予算におきまして、そのときの財政状況を見て、前向きの方向で増額のほうにひとつがんばっていきたいというふうな考え方でおるわけでございます。 以上でございます。 ◆佐藤熊太郎君 自席で恐縮ですが、大気汚染関係の知事さんの御答弁がないようでございます。   〔知事亘 四郎君登壇〕 ◎知事(亘四郎君) たいへん失礼いたしました。あまり一ぱいあったもので、どこかに飛んでいっちまって見えなかったのでございますが、大気汚染防止でございますが、先ほど来、いろいろな方のお話にもありましたように、公害対策の問題といたしまして非常に重要な関心を持っておる問題でございます。 そういうことから、一応新しく企業を興さんとする方に対しましては、そうした観点に立って、十分業者と考え方を話し合って、そうしてできるならば、その契約に伴う防止対策を十分してもらうということが必要であるから協定書を結びたい、かように考えておりますし、またそうでなくとも、少なくとも話し合いをして、そうしてあの点、この点とお互いに協力し合って、地域にそうした大気汚染の原因をつくらないようにできるだけ配慮をしてもらわなければならぬという観点から、そうした点に対して十分な話し合いをつけていきたい。話し合いによってやはり協定書を結んでおいたほうがよろしい。 たとえば、先ほど問題になった直江津ですとか、あるいは新潟の山ノ下でありますとか、そうした旧来から因縁浅からぬ関係のある会社の方々とは、必要によって増設されなければならないわけでありまするから、それはそれなりにやはり十分話し合いの上で、公害を起こさないような配慮を完全にしていただくということ。そうしてまたそれが協定書を結ぶことが適当であるならば、協定書を結ぶ、話し合いによって指導していくならば指導していくというように、善意の形で事業を進められるようにしていきたい、かように考えております。   ――――――――――――――――― ○議長(高橋重雄君) 次に、若槻勉君の発言を許します。   〔若槻 勉君登壇〕(拍手) ◆若槻勉君 社会党の若槻でございます。通告に基づきまして知事に質問を申し上げたいと存じます。   〔議長退席、副議長着席〕 質問に入ります前に御了承をいただきたいのですけれども、私は、主として知事の決意と所見を承れば結構でございますので、答弁はできるだけ簡単明瞭にお願いしたい。ただし若干の補足説明は、これはやむを得ないと思いますが、そのようにお願いを申し上げたいと存じます。 最初に、先ほど来ここで質問の主題になっております阿賀野川有機水銀中毒事件についての今後の対策でございます。 いままでここで論議されたのは、主として補償の問題が取り上げられておりましたけれども、私がここでいまの立場で一番問題にしなければならないのは、補償もさることながら、原因をやはり明確にしなければならないことでないかと思うのです。なぜこういうことを申し上げますかといいますと、先ほど来の補償の件についての知事の答弁を聞いておりましても、林さんの昭電に対して補償の何か仲介の役を買う意思はないか、こういう質問に対して、いまの段階でもしそういうことをやって、加害者はこちらでない、加害者はおれでないよと言われれば取りつくひまがない、こういうような意思の御答弁があったようです。 それから先ほど佐藤さんの質問に対して、やはり大事なのは、補償という問題が明確にならなければ十分な手当てはできないのではないかというような御答弁があったようです。これを裏返して見れば、補償補償といっても、原因がはっきりしないうちは、完全な補償対策はできない、こういうことになるわけです。 そこで、政府の見解が発表されました直後に、あらゆる面でその政府見解に対してのまた反論なり意思表示がなされておるようでございます。まあ、亘知事自身も、新聞等によりますと、あいまいな結論だ、不満の意を表明、こういうようなのが記事として載っております。なお、このほかに学者、技術者、こういう方々が同じように政府の見解はあいまいだ、あるいはあの政府の見解は、政治が真理を歪曲して発表されておる、こういうような意見がございます。 そこで、私、そのことについて若干触れてみますと、やはり知事さんがさっきおっしゃったように、昭電にいま交渉をしても加害者はこちらではないと突っぱねられると思います。 このことについて、私、たまたま27日の日にほかの用で東京に行っておったわけですけれども、そのときたまたま新潟水俣病に関する新潟地方裁判所の出張裁判がございまして、松田心一先生を証人としての尋問が行なわれておりました。私も、この機会に傍聴しようと思って参ったわけですが、本論に入ります前に、原告側の弁護士が被告側の法廷代理人となっている弁護士に対して、政府の見解が発表された今日、この水俣裁判に対して被告側の意見はどうか、こういう質問をいたしております。これに対して、法廷代理人の代表として某弁護士は、発表以前と何ら変わりません、こういう態度をはっきり表明しております。 なお、新聞等によりますと、昭電の安西社長も、自分は加害者だと思わない、原因はこちらではないということが出ておるようでございます。ところが、これらの問題をめぐって――私新聞によって感じておることなんで、あるいは事実は直接聞かなければわからないとは思いますけれども、しかし一連の客観情勢等からいたしまして、やはりそれらの人の言っていることが真実ではないか、こういう気がいたします。 その例として、ごく最近までこの議場でわれわれと一緒に語り合っておりました前の県の衛生部長の北野先生でございますが、この人がいろいろ言っておりますけれども、一番重要と思われる点をちょっと引用してみたいわけです。「40年秋には厚生省の特別研究班に加わり、調査活動を行なった。この研究班が、原因は昭和電工の工場排水と発表すると、行政官は裁判官的であるべきなのに、検事になるとは何事かと週刊誌で批判されたりした。中央や地元有力者から患者や家族にどのくらい金を出したら、だまらせることができるかと打診もあった。北野をやめさせろと、身辺のアラさがしがはじまったのもこのころ。やり過ぎではないかとの同僚、いい加減にごまかしておけと注意する先輩、そこまでやる必要があるかと不安がる部下。お役所の事なかれ主義を、しみじみと感じ、壁にぶつかった。だが、若い数人の部下が理解してくれ、それが大きなたよりだった。意志の強さをあらわす広い額に手をあて北野さんはこう結んだ。」こういうふうになっております。「水俣の結論がもっと早く出て、原因を明らかにされていたら、新潟水俣病は起こらなかった。それが政治であり、行政なのだが、企業に卑屈なほどへりくだっているのが現状だ。排水規制や指導監督をいまこそ真剣に考え、実行しなければならない。第3の水俣病を起こしたら、世界のもの笑いになる」こういう記事が1つございます。私は、やはりこれは真実をうたっているのではないかというふうに推測をするわけです。 また、新潟日報は、社説でやはり政府の結論のあいまいさを強く強調し、これをこのまま放置しておくべきではないということをうたっております。 なお、27日当日出張裁判の席上で、証人として立たれた松田教授も、やはり最後のほうで、政府の発表に対してははなはだ残念である、こういうことで結んでいるわけです。 そこで、私は、なおこの問題をめぐって科学技術庁長官と2回お会いをしたことがございますけれども、2回ともやはり科学技術庁長官は、厚生省の出した結論に対して通産省、農林省等々の意見を聞きながら調整をして発表する、こういうことばが数回出ております。 私の考えるには、真理は1つでなければならない。特に自然科学の分野において、その真理を探求し、把握するのはだれか。これはやはり私は学者、技術者、これらの人たちこそがほんとうに真理を探求し、把握し得るものだと思うのです。そのことに対して、厚生省の特別研究班、これは3つの班に分かれて調査をやったわけでございますけれども、その3つの班の結論として、原因は昭電の廃液であるということがうたわれておるわけなんです。 ところが、私、上京して通産省やあるいは農林省の係官にも意見を聞いてみたことがあるわけですけれども、事実通産省や農林省のほうでは、厚生省の特別班のように、あのように現地で実物を採取しての調査はやっておらない。ほんとうに現地でいろいろな資料を集めて分析し、検討し結論を出したのは、厚生省の特別研究班であるはずなんです。 ところが、そういうふうにいろいろ迫害やら圧迫やら非難やらを受けながら、ほんとうに熱心に心血を注いで調査をしたその結果が、さっき言われたように、調査も満足にしない分野のほうからの横やりで曲げられているということは、まことに残念なんです。 そういう意味で、真理を守る、正義を守る、こういう立場から、ここでやはり新潟県としては、この原因を明らかにするように追及をしていかなければならない、私は、こういうふうに考えるわけです。 そこで私は、ただ知事一人にこの問題を解決せいとは申し上げませんけれども、少なくともそうした運動の先頭に立って、よしひとつこれをやろう、こういう決意をもっていただきたい。 かつて北村知事が就任されたあのころ、たまたま新潟飛行場拡張反対運動というのが起きておりました。あれは時の政府が拡張をしようという方針で地元工作をやっておったときです。ところが当時の北村知事は、そういうことはいかぬ、拡張はすべきでない、こういう立場から、あの運動の先頭に立って反対を行ないました。その結果、昭和33年に拡張という話は取り下げになりまして、先ほどもちょっとここでお話がありましたように、いまは民間空港として平和に使われておる、こういう結論になっております。 いま知事の立場からすれば、自民党の知事が自民党の政府に向かってこのようなことを申し上げることは、たいへん困難なことだと思いますけれども、それだけにまた勇気をもってやらなければならないのではないかと思うのです。 これは古いことで恐縮ですけれども、昔、平重盛という人が、親を諫言するときに、忠ならんと欲すれば孝ならず、孝ならんと欲すれば忠ならずとおっしゃった。どうしても清盛が自分の意思を通そうとするならば、わが首をはねてからやってくれ、こうおっしゃったそうですが、それくらいの気持ちになって、正義のために知事さんは決意をしていただきたいと思いますが、いかがでございますか。これが原因究明についての点でございます。 次に、被害者の救済の問題ですが、これは先ほど来しばしば言われておりますし、私も現段階では、知事が答弁されているよりほかないのじゃないかと思うのです。あれだけはぜひ強行していただきたい、こう思いますが、この問題を取り上げるウエートとしては、むしろ二次的に考えてもいいのではないか。しかしほうっておくわけにはいきません。 先ほど来、患者の件についていろいろ御意見が出ておりますけれども、この問題についての被害は、ひとり現在水俣病で悩んでおる患者だけではございません。そのことは、知事も御承知のことと思いますけれども、ついでですから、申し上げますと、まず、あの阿賀野川で魚をとっておる漁民というのがおります。あるいはまた阿賀野川河口周辺の海で魚をとっておる漁民がございます。それからもう一つは、その魚の行商をやりながら生活を営んでおる魚屋がございます。もう一つは、店で魚を売っておる鮮魚商がある。なおもう一つは、魚を材料にして加工をやっておる業者もある。これらの人たちも、やはり大きな被害者であるわけです。 具体的にいえば、松浜漁業協同組合、この人たちは、40年、41年、42年の3カ年分として1,899万4,000円という被害要求を行なっておる。内水面漁業協同組合連合会、これは川口からずっと五泉のほうまでの沿川の内水面の漁業組合ですが、この人たちは、40年、41年分として3,963万8,000円余の補償金を要求しておる。それからさっき申し上げました行商人、これは松浜の第一鮮魚行商組合というものがございまして、構成人員は210名になっておりますが、この人たちも、やはり40年、41年分として1,549万六千余円を要求しておるわけです。そのほかに松浜鮮魚組合として11名の方たちが、やはり同じく2年分として520万四千余円、これを要求しておる。なお最後に、加工業のほうですけれども、新潟市内の長嶺というところに石本つくだ煮屋というのがあるわけですけれども、この人は、やはり阿賀野川でとれるハゼを中心にしてつくだ煮をつくっておったのが、そのハゼがとれなくなったので、商売があがったりだということで140万の被害要求を出しております。 これが、いま阿賀野川を中心にしたいわば被害者の実態でございます。したがって、これからの原因がはっきりするまでの対策は対策として行なわなければならないので、このことについても十分留意をして、知事さんから対策に当たっていただきたいと思いますが、このことについてどういうふうにお考えになりますか、御所見を承りたいと存じます。 時間がありませんので、次に移ります。 次は、開発問題でございますが、この本論に入る前に、ちょっとさかのぼって、ことしの2月議会のわが社会党の木島議員は、代表質問のときに新潟県の総合開発について知事に質問をしております。そのときの質問並びに応答等を振り返ってちょっと考えてみたいと思うのですが、木島議員の質問の要旨を拾ってみますと、塚田知事の退陣後、そのあとを引き継いだ亘知事は、最初の臨時会で所信表明のときに、前者の計画を踏襲するとはっきり言明をしておる。ところが、そのためには早急に後期計画の具体化をはかり、計画性ある県政を推進する、こういうふうに言っておる。ところが、それが行なわれていないまま長期的な目標を明らかにするよう改めたいということが公表をされた。この長期的な計画目標というのは、これは企画部長の説明によれば、20年後の長期目標だ、こういうことになっておる。そうなると亘知事の今期任期中は、就任直後からの政策の基本である総合開発の後期計画の具体化はなされないまま終わってしまう。これは知事の無計画を県民に宣言したことになるのではないか、こういう質問でございます。これに対して知事さんは――これは全文でないから、表現については若干変わっているところがあると思いますけれども、私は、要旨は間違いなく集約したつもりでございますが、もし間違っておれば、あとで御訂正をいただいてもけっこうでございます。総合計画の立案は、一つのはやりものであった、こういうことを知事は言われております。しかし経済開発をし、富をつくって、これを社会開発につぎ込む考えは全然間違っていない。自分が知事に就任したとき、そのようなものがあったから、それを否定する必要がないから踏襲いたしますと、こういうふうに言ったのだ、こういうことであります。ところが進行過程で思わぬ災害に遭遇して計画の推進が妨げられ、時間的にも後期計画をつくるゆとりがなくなった。その上、国のほうで全国の総合開発計画の立て直しが始まった。それに合わせるためには、したがって45年度までの後期計画は立たなくなった。それから、なお引き続いて、なお後期計画というものは、何と申しますか、いわば大きな計画で、画家が一つの画を書くとき、最初キャンパスに向かって木はここへ、馬はこっちに向けてというように大きくぽんぽんとやりますが、あれと同じようなものなんです。ここで笑い声が出たわけです。そこで、あってもじゃまにならない、こういうふうにここはつないである。45年以降の長期計画は、短いものをつくると毎年いじめられるから、そんなことのないように長いものをつくっておこう、それから長期計画というのは、社会主義の国ならできるが、自由主義の国では困難だ。私の気持ちとしては、これはむしろないほうがよいと思う。そして、これは結びになると思うのですけれども、したがって長期計画は手直しとかなんとかいうような必要もないわけでございましてと、こう結んでおるわけですから、新潟県がいままで総合開発計画と称しておったものは無意味の存在だ、こういう結論になるようでございます。 そこで、現在、新潟県に総合開発計画と新産都市計画というものがあります。これは新産業都市基本計画というのが示されて、それに基づいて仕事が進められておるようでございますが、かつて塚田知事に、総合開発と新産計画との関係はどうなんですかとお伺いしたときに、塚田知事は、新産計画は総合開発計画の根幹をなすものだという意味の答弁を私は受けた記憶がございます。したがって新産計画も御破算ということになる、こういう解釈がなり立つわけです。 そこで、なお引き続いて新産計画の中核であると言われてきたのが、すなわち新潟臨海工業地帯の開発であったわけです。私は、今回特にこの地域のことについて、意見を付しながら知事の所見を伺いたい、こういうふうに考えます。 ちょっと前置きが長くなりましたけれども、こういう趣旨でこれから質問をしていきたいと思います。 まず、最初に、現在あそこに進められております工事が幾つかありますけれども、大きく取り上げれば、港をつくっておるということと工場用地を造成しておること、この2つが一番大きいわけでございます。ところが工場用地をつくるというのは、このことについて、私たち社会党としては初めから賛成はしておらない。その理由としては、企業局があのような仕事をするということが、公営企業法の条文なり、あるいは精神からいって妥当なものではない。それからもう一つは、県なりあるいは国なりが行なう事業は、公共施設の工事を行なえばいいのであって、民間企業が使用する土地まで県の責任においてつくる必要はないのではないか、こういうことが主張であったわけです。 ところが言いわけとしては、野放しにしておくと工場配置がうまくいかないからというようなことでやはり土地造成をしなければならない、こういう考え方であったようでございます。ところが工事が進んでまいりますと――このことについては、前に吉田さんが一ぺん取り上げておりますし、ことしの2月には、相場さんがやはり取り上げておるようですが、たいへん不安の点が幾つかございます。そこで、あれを続けていくならば、おそらく抜き差しならないような状態におちいってしまうのではないか。 そこで、あの県が行なう工場用地の造成は、現在行なわれておる第1次計画、これは昭和38年、39年、40年、第2次計画が41年、42年、43年、この計画にとどめるべきだ、このことについて知事の御所見はいかがでございますか。 その理由として幾つかあるわけですけれども、時間がないようですから省略をいたしますが、なお私の言い足りない点は、また後日ほかの方からもかわって話をしていただくことになろうかと思います。 それから、いま新しい時点として起きてきたのが、あの工場地帯の買却、工場に対する買却ということですけれども、このことについて、県と日本特殊アロイKKとの協定というのがあるわけでございまして、これは企業に対する便宜供与あるいは県の要請事項というのが載っておるわけですけれども、特にこの中の公害対策について、この公害についても先ほど来しばしば論議されておったわけでございますが、私たち社会党の考え方については、前にわが党の志苫議員がこの議場で意見を開陳したこともあったわけでございますけれども、今回たまたまこういう初めてのケースに遭遇したわけですから、県と業者との間でこの公害対策のいわば施設といいますか、事業に対して、これこれこれこれのことをやるという具体的な協定を結ぶことができないか、これが1点。 もう一つは、この協定に対して県、市あるいは学識経験者、それから企業の代表、地元の代表、これらの人たちによるこの公害対策協定の進行管理を常に監視していくようなそういう機構をつくるというお考えはございませんか。この点を、この新しい時点に立って、ひとつ知事の御所見を承っておきたいと存じます。 それから最後に、地元に対する対策でございますが、この件についても、6月の議会でわが党の志苫さんが知事に所見をただした一つとして、漁民の船だまりの件がございました。そのとき知事は、にべもなく、あれは工業港なんだから、そういうことは困難だという御答弁がございましたが、それでは全く血も涙もない考え方ではないかというふうに私は考えるわけです。 と申し上げますのは、あの辺の地元の人たちは、先ほど来申し上げましたように、第1次、第2次計画でもって百何十万坪という農地を県に売っているわけです。したがって、耕作面積はうんと狭まっているわけです。そうかといって、工場が次から次へと来るわけでもない。めしは食えない、しかたなしなしにやはり海へ出て、魚でもとってほそぼそながらやっていこうということで、そういう人たちが海に出て魚をとっている。 ところが、これは御承知のように、沿岸の権利は放棄したわけですから、沿岸にはおれない、沖に出なければならない、必ず船が要る、その船のつけ場所もない、こういう実態です。これはやはり地元のそういうほんとうに切実な問題は、たとえ工業港であろうと――新潟の港は、これは商港になっておりますけれども、名前を変えて生産物物揚げ場などという形であそこにやっぱり漁港があります、実質的な漁港が。だから、あの地元の人たちも無理なことは言うていない。なるべくじゃまにならないようなところ、場所は少なくともいいんだから、何とかしていただきたいというのが地元の熱烈な要望でございます。これらのことについて、知事はもっと実情をよく調査をされまして、何か善処されるお考えはございませんか。 なお、申し上げたい点はありますけれども、時間がありませんので、以上で私の質問を終わりたいと思います。(拍手)   〔知事亘 四郎君登壇〕 ◎知事(亘四郎君) 若槻さんのお尋ねの件でございますが、第1点は、阿賀野川の水銀中毒事件の問題でございまして、特に若槻さんは、原因究明というものに対してもっと突っ込んでいかなければならない、こういうお話でございます。私も学者じゃございませんので、科学的にはっきりと証明できるような形であってほしいと思うのでございますけれども、手段としては、やはりああいう結論が出れば、その結論を中心にして考えていかなければならぬ、かように思っております。 ただ結論が不満足であったということは、もうくれぐれも申しておるとおりでございまして、科学技術庁の長官が、やはり立場上厚生省、農林省、通産省おのおのから出てきたものを科学技術庁として技術的に調整をする、こういうようなまことにどうもおかしな庁もあったものだなと思いますが、そういうことなんでありまして、そういう意味からいって、原因の究明ということが徹底的に行なわれなかった。そしてまた一方、園田厚生大臣が言われる説明を聞けば、なるほどなという気持ちもあるわけなんです。ということは、長期、短期に分けて幾つか汚染の原因が考えられる。そうして、これはどう、あれはどうと一つ一つやっていって、そうして残ったのは、これでもない、あれでもない、これだ、こういう形にはなっておるけれども、それ自体を証明ができないでしまっておる。 それで御案内のように、厚生省の食料関係の調査班の方々の調査の結果を見ましても、やはり何と申しますか、プロバビリティというものを中心にしてやるわけなんです。そうするとプロバリティになりますと、ある程度のリーストエラーというアローアンスがなければならぬ。そのリーストエラーをどこにとるか。(「日本語でしゃべりなさい」と呼ぶ者あり)ところが日本語でどういうのかちょいとわからない。(笑声)それはそういう熟語になっているんです。(「それじゃわからぬ」と呼ぶ者あり)だから、日本語でどう訳していいのかわからぬ。リーストエラーなんていうのは、もう熟語ですよ君。(笑声)その問題をどこまで許すかということが問題点なんであります。そういたしますと、やっぱりこれだ、こうぴちっときめつけるというわけにはなかなかいかないのだ、これが厚生大臣の考え方で、私も聞いておれば、なるほどそうだな、こう実は思っておったわけであります。 はなはだ不満ではあるが、どうもしかたがない、そういうことでありますが、いま私に私の決意として、さらに竿頭一歩を進めて――忠ならんと欲すれば孝ならず、孝ならんと欲すれば忠ならず、重盛の進退ここにきわまる、こういうことでございますが、四郎の進退はまだきわまったとは思っておりません。(笑声)おいおいこれからやっていかなければならぬ、かように思っておるわけで、私の決意を表明したわけでございます。大体お尋ねの件は、私の決意ということだと思っておりますから、そう申し上げておきます。 それで第2点の開発の問題でございますが、いろいろ過去の長い歴史をお説きになりまして、私は、お聞きしておる間に焦点がぼけてしまっておるのですが、大体いまやっておる計画をもうこの段階でストップしたらどうか、こういうように聞きとれたのでありますが、御案内のように、一応工業地帯としてこれを造成していく、そういたしますと、無計画で自然発生的にここは住宅になった、ここは工場になったという形では、やはり工業港という形にはなりにくい、でありまするからして、計画を立てて、そうして企業の規模や性質によってある程度区画をしてやっていかないとなかなかうまくいかないんじゃないか、そういうことで、そういう計画に従ってやっておるわけなんでございまして、これをいまやめるということは、ちょっと私には考えられないことに思っております。 なおまた詳細については、企業局の局長さんなり、あるいはまた企画部長さんなりから御答弁をお願いしたいと思っております。 それから船だまりの問題でございますが、これは、いまいわゆる工業港としてこの計画を見ますと、船だまりの計画は全然ないわけなんです。そうして御案内のとおり、あれは、仕事は運輸省の港湾局の第一建設局が仕事をやっておる。漁業関係とは非常に縁の薄いわけでございまして、漁港ということになりますと、農林省関係になるわけでございます。 それで工業港の中に船だまりをつくるということは、私はなかなか容易じゃないんだがと思っておるわけなんです。だから、もっと漁港なら漁港として別に考えていく、何人いらっしゃるのか知らないが。それはまた別の考えで対処していかなければならないんじゃないか。それらの方々の操業の実態、何トンぐらいの船を使っていらっしゃるのか、全然私はわかりませんが、一応もしあれだったら、地元の方とお会いして、お話を申し上げて、よく向こうの気持ちをつかんで、そうして検討さしていただきたいと思います。無慈悲に投げやりにというような気持ちは毛頭ありませんから、ひとつよろしくお願いします。 ◆若槻勉君 中毒事件に関連して、漁業者の被害に対する補償についての考え方を……。   〔知事亘 四郎君登壇〕 ◎知事(亘四郎君) もちろん補償問題が完全に軌道に乗れば、それは被害を受けた人全体が対象になるものではないかと思います。他にもそういう例は幾多ございますからして、漁業者はむろんのことですが、それに関連する商売の人、つくだ煮屋までということになると、私はちょっとどうかと思いますけれども、一応漁業、漁獲をしておる人は、当然その範囲内では対象になると思うわけでございまして、またそうなった場合は、そのように自分も協力をしていかなければならぬ、かように考えております。   〔若槻 勉君登壇〕 ◆若槻勉君 再質問をいたしたいと思います。 まず最初に、新潟水俣病についての原因の探求の件でございますけれども、知事は、現段階において困難だ、こういうような考え方を持っておるようです。そういう考え方ですと、その後にくる補償についても、適当な補償は困難だ、こういう結論に通ずるような気がしてならないのです。 知事は、いまも漁業者に対する救済の問題についても、補償ということがはっきりすればということばがありましたけれども、原因がはっきりしなければ、およそ補償ということは出てこないでしょう。これはどうですか。 これは、私たちが新潟に住んでおりまして、痛い経験をしておるのは新潟の地盤沈下です。あれもやはり日本の学者の粋を集めて探求をした結果、原因は、急激多量にくみ上げる地下水だ、こういう結論にはなっておるんです。ところが、そういう結論が、きめ手にはならない。やはりこれもあいまいな発表になっておると思うのです。したがって、あの問題についての補償はほとんどないでしょう、一件もないでしょう。 なるほど公共施設については、これは国や県や市町村がやったでしょう。だけれども、個人の被害については、何ら補償も救済もないんです。ある人は排水が悪いために、2尺も3尺も、あるいは60センチも90センチも地盛りをして、土台上げをしておる。ある人はそこに住んでおれなくて、よそに引っ越しておる。ある人は床上浸水で、壁が落ちて、その修繕に相当な金をかけておる。こういうような個人の被害については、何ら補償も救済もないでしょう。およそこのいまの新潟水俣病についても、原因というものがはっきりしなければ、補償は私はないと思うのです。 その点、知事は、原因をこのままにしておいて、補償ははっきりさせるという自信がございますか。その点について御意見をお聞きしたい。もしあるならば、私は私の意見を取り下げます。もしないとするならば、やはり私は、この際ひとつ知事は勇気をふるって、正義のためにも、真理の探求のためにも原因究明ということについて、先頭に立って戦うべきではないか、こういうふうに考えるわけです。 それから次に、東港の件ですが、これは時間が足りなくて、私の質問のやり方も不十分であったのですけれども、まず第1点は、無計画でやりっぱなしはできない、これは私は当然だと思うのです。したがって私は、無計画にやりなさいなんて言っておりません。公共施設として必要なものは、国や県や市町村がそれぞれおやりになったらいいでしょう、こう言っておるのです。それは当然国や県や市町村が計画をしてしかるべきだと思うのです。 先ほど来、直江津の公害に関連して都市計画で用途指定をしたけれども、その指定地域に別な施設をしたということで追及があったようですけれども、私は、やはり都市計画というようなことで計画的に地域指定をして、そこヘ工場をつくる、指定した地域に都市を形成する、住宅地域を形成する、あるいは緑地帯、公園をつくる、道路をつくる、こういうことになっていけば、何にも無計画でなくて、やはり整然としたあの周辺の環境整備はできると思うのです。 そういう意味で、現在すでにきめられておる都市計画街路さえも、あそこはかかっていないじゃないですか。県道島見―新発田線というのがあそこにあるわけですけれども、あの掘り込みによってだいぶ長いこと切断されて通行不可能です。いまだにそれに対して法線を変更したとかなんとかいうことはないじゃないですか。そういうことは、むしろ無計画であり、やりっぱなしだということになるのじゃないでしょうか。だから、県が金を出して土地を買って、そしてその土地が完全に売れるか売れないかわからない。しかも、それには起債として何十億、県の一般会計からの持ち出しが、昭和43年度の末になると8億1,000万円になるわけです。なるほど全部売れてしまえば、とんとんになるのだから損得はないかもしれませんけれども、必ず売れるという保証はないでしょう。もし売れないで残ったら、それはやはり赤字ですよ。それだけに企業局の現地でこの仕事に従事しておる人たちの苦労というものの並みたいていでない苦労は、私は認められると思うのです。それだけに苦労をかけて、行政的な効果の上がらないような危険の伴う工場用地の造成というようなものは――いまやっておるのはやめろとは言わないが、いまの第1次計画、第2次計画でおやめになったらどうですかと、こういうことです。 それから次は、漁港の問題なんですけれども、これは知事は、前の答弁でも、あの港がないときのことを考えて、適当なところにそういうものをつくったらどうかとおっしゃったけれども、あのときは海岸がほとんど一直線で、障害物はなかったんです。いまは何キロという突堤が海の中に出まして、東のほうから西のほうにいくのにたいへんなんです。海岸は切断されているんですよ。適当なところに船だまりをつくって、そこへ船を引っぱって揚げておけなんて言ったって、そう簡単にはいかないのです。 したがって、私は、やはり港の中であれば安全でもあるし、そうたいしたじゃまにもならないようだし、そういう場所を選んで、こじんまりしたそういう施設をつくっておあげしたほうがいいのじゃないか、あえて漁港などと言わなくてもいい、そういうことを何とか行政的な措置でできないものなんですかと、こういうふうにお聞きしておるのです。これに対して、もう一ぺんひとつ御答弁をいただきたい。以上です。   〔知事亘 四郎君登壇〕 ◎知事(亘四郎君) 最後の漁港の問題を先にひとつあれしてしまいましょう。 漁港の問題は、いろいろ実情を調査さしていただきまして、そしてほんとうにどんな施設で問題が解決するのか、いまお話を聞いておっただけでは、実は私の頭の中にはっきりと入ってこない、図解が入っておらないわけでございますので、ひとつ検討さしていただきます。 それから最初の原因の究明でございますが、原因の究明ということは、もうできればそうあってほしいと念願することの私も非常に強い者の一人だと私は信じております。だからこそ、あれだけのことを政府に向かっても言うているんです。言われるとおり、原因の究明がはっきりすれば、問題はもうそれで片づくのです。それがないばっかりに、あとの問題がにっちもさっちもいかない。 そうしてまた、問題としてじゃ補償問題を一体だれがやるかといえば、先ほど申しましたように、かりに一方のほうで長期汚染の原因はあるのだから、全体の被害の何%かはあるのだからという解釈をもって、その範囲においてひとつ仲へ入ってまとめてくれないかと被害者と加害者と目される両者から頼まれれば、その仲介の労をとるにやぶさかでないのであります。しかし、そうした原因がはっきりしないものに対して、原因を究明しなければならぬ、じゃ、どうすれば究明できるのか、私は先ほど来申しますように科学者でないから、これはどうもしかたがない。どれを証明としてやるか。ただ1つに限る、幾何学的な表現をすれば、1つあり、しこうしてただ1つに限る、こうはっきり言えるだけの形にならなければならぬ。そういたしますと、なかなかめんどうだと思うのです。ほんとうに原因の究明が一番大事だ。ところが一番大事なそのものがはっきりできない。そのできない原因を聞けば、なるほどなと私も思ったと、こうなんです。そういうことなんです。 ですから、補償問題等につきましても、やはり相当長引く問題になるんじゃないか。裁判問題になっておりますからして、何しろこれは裁判でつけるよ、要らぬことを言うな、こう言われてしまえば、もうおしまいなんです。だから、私は、私がみずから進んで入るという形のものは、いまの段階ではとうていとり得ません。両者から話があって頼まれた場合に、新潟県の知事として関係があるのだから入ってというなら、喜んで協力をして入っていきたいと思いますけれども、みずから進んでという形はとうてい私にはできません。 ○副議長(志田保君) 東港の土地造成第3次計画というものはやめたらどうか、こういうことを言っておるのですが……。   〔知事亘 四郎君登壇〕 ◎知事(亘四郎君) これは、ひとつ企業局長から答弁さしていただきます。(若槻勉君「企業局長のほうはだめなんです。企業局は、知事部局の依頼を受けて土地造成をやっておるのだから、その計画は知事部局がやっておるんですから……。」と呼ぶ)ともかくも、ああやって大きな経費をかけて、そうして国も県も力を入れている仕事でございますから、一応所定の計画のものは、第何次までになるのか存じませんが、これはやはりやらなければならない、かように考えております。   〔若槻 勉君登壇〕 ◆若槻勉君 これで最後になりますから、お聞きいただきたいのですが、原因の問題について、どうやって原因を究明するのか、そのこと自体がどうもはっきりわからぬというような御意見のようですが、私が申し上げておるのは、科学的にははっきりしているのだ、はっきりさせないのは政治なんだ、したがって歪曲した政治の姿を正させれば、これははっきりするのだ、こうなんです。それが知事の勇気によってそういう運動ができないかというのです。知事にはっきりさせろというのではない。そういう運動を知事はやるような気持ちになれないかと私は言っているのです。それが1点。 それから私は、東港の土地造成についていますぐ全部やめろとは言うてないのです。いまの第1次計画、第2次計画を全部やると63万平方メートルになるのですか、計画では。実際はそれだけはできないかもしれませんけれども、一応の計画はそうなんです。それだけはまあやむを得ないだろう、だけれども、それ以外の新しい計画はおやめになる意思はどうですか、こう言っておるのです。それではっきりしたでしょう。(知事亘四郎君「はっきりしない。第3次、第4次がどれだけの計画になっておるのか何にも知らない」と呼ぶ)はっきりしないんですかね。(笑声) そこで、私は企業局にお聞きした限りでは、そういう計画を立てるのは知事部局だ、私たちは、知事部局のほうで立案されたその計画に基づいて、依頼を受けて土地を買っているんだ、こう言っておるのです。そこであなたは、第2次計画までは承認しておるが、その後もなお引き続いておやりになるお考えなんですか、あれでおやめになったらどうですかと言っておるのです。今度はわかったでしょう。(知事亘四郎君「わかりました」と呼ぶ)(笑声)   〔知事亘 四郎君登壇〕 ◎知事(亘四郎君) さっきから問題になっております原因の究明の問題でありますが、若槻さんは、原因ははっきりしているという断定に立って主張なさっておると思うのです。私もある程度それはよくわかります。しかしながら先ほど来しばしば申しますように、原因は1つあり、そうしてただ1つに限ると証明ができないというところに問題がある。それをあなたが、もしその証明することを私に教えていただければ、私はそれに従いますし、喜んでやります。ところが、それだけではないという言い分がある限りにおいては、これを打ち消さなければならぬ。それを打ち消す資料がないのです。それはよくおわかりだろうと思うのです。 それから次の、第3次、第4次計画というものを進めていかなければ、あの東港の関係の仕事が完了しないのだということであれば、どうしてもこれはやっていただかなければならぬと思います。そうでなければ、十分活用のできるりっぱなものという形にはならぬと思いますので、やはり木材投下泊地に至るまできちんと計画どおりやるべきではないか、またやらなければならぬ、かように考えております。   ――――――――――――――――― ○副議長(志田保君) 次に、田井安平君の発言を許します。   〔田井安平君登壇〕(拍手) ◆田井安平君 私は、通告の順序に従いまして、まず老人福祉政策並びに道路行政の2点について知事並びに所管部長の御意見を承りたいと思います。 亘県政はここに3年目に入りました。その間幾多の災害に見舞われ、実に筆舌に尽くせない御苦労と御奮闘を賜わりましたおかげで業績は非常に増し、順風満帆の進展を示しました。現計予算は1,356億も消化する。しかも健全財政をモットーとして鋭意県政発展の諸施策を着々行なわれ、その規模はまさに全国府県中第5位を占めるほどのものであることはまことに欣快にたえない次第であります。 特に昨年は2年連続の大水害に見舞われまして、8・28の被害だけでも1,040億円をこえ、その上豪雪に当面してその対策事業の推進等で、ついに御承知のとおり赤字16億円は免れまいと今春の定例議会並びに常任委員会等において説明され、われわれはやむを得ないものとあらかじめ了承を与えていたところでございましたが、国から特別交付税等で16億7,000万円余をもらってこられ、結局9,500万円の黒字決算を堅持されたことは実に慶祝にたえません。 もとより、われわれ議会はこれに取っ組んで、水害対策特別委員会及び雪害対策特別委員会を設けまして中央に強力に陳情し、全力投入、バックアップの効果を奏したことは論をまたないのでありますが、特交を10億もこえたものにし、また先月末獲得された普通交付税の304億1,800万円はまさに全国府県中第1位であります。長野県より102億円多く、福井、富山、石川の3県分に匹敵する額をものされたことは殊勲甲であり、さすがに衆議院議員8期にわたるキャリアと誠実にしてしかも正直な人柄で、政府要人たちが、かつての同僚議員同士顔のつながり等が多いためにスムーズに要求を通してくれるたまものと、深くその御手腕に敬意を表しておるのでございます。 しかしながら、ひとつこの際苦言を呈しまして強く要求して、方針をただしたいことがございます。 それは、御就任以来福祉県の建設を主張されてこられました。それにもかかわらず、老人福祉施設が貧困過ぎることであります。昭和38年7月11日、国は老人福祉法を制定して、毎年9月15日を祝祭日と定め、老人に対する感謝の日、謝恩の行事をなさしめ、愛情込めたいたわりの1日を持つことになり、法制定5周年の記念の年を迎えたことは御承知のとおりであります。 福祉法の第1条目的には「この法律は、老人の福祉に関する原理を明らかにするとともに、老人に対し、その心身の健康の保持及び生活の安定のために必要な措置を講じ、もって老人の福祉を図ることを目的とする。」となっておるのであります。なおまた第2条基本的理念として「老人は、多年にわたり社会の進展に寄与してきた者として敬愛され、かつ、健全で安らかな生活を保障されるものとする。」とあります。第4条、老人の福祉増進の責任について「国及び地方公共団体は、老人の福祉を増進する責任を有する。」第5条に「国及び地方公共団体は、国民の祝日に関する法律第2条に規定する敬老の日において、ひろく国民が老人の福祉についての関心と理解を深め、かつ、老人が自らの生活の向上に努める意欲を高めるような行事が実施されるように努めなければならない。」とある。なおまた第10条、第11条等に「福祉の措置」、実施方法については市町村長の施策要請に協力しなければならないし、第11条の第2号には「65歳以上の者であって、身体上若しくは精神上又は環境上の理由及び経済的理由により居宅において養護を受けることが困難なものを当該地方公共団体の設置する養護老人ホームに収容し、又は当該地方公共団体以外の者の設置する養護老人ホームに収容を委託すること。」と相なっております。13条「地方公共団体は、老人の心身の健康の保持に資するため、教養講座、レクリエーションその他ひろく老人が自主的かつ積極的に参加することができる事業を実施するように努めなければならない。」あるいはまた「老人の福祉を増進することを目的とする事業を行なう者に対して、適当な援助をするように努めなければならない。」とありますが、本県の状況は、敬老事業として本年度予算に659万7,000円と、市町村あるいは法人経営の老人ホーム、軽費老人ホーム及び特別養護ホーム等に対しまして幾らかずつの助成を出しておるだけで、県として総合施設、いわゆる老人を収容する、あるいは施設をする総合施設が一カ所もないのであります。 60歳以上の老人はわが県で26万2,000人といま相なっておるのでありますが、ここに法令に従って60歳以上の老人クラブというものを進められてきておる。これに基づきまして、そのうち12万2,000人、2,314クラブがただいまのところできております。そうすると、26万2,000人の在籍数の51%にしか当たらない。半数しか会員ができておらないのであります。それは何となれば、1クラブに対する補助金が国が月500円、県と市町村がそれぞれ500円ずつで計1,500円しかもらえないのであります。1人当てならばいいけれども、1クラブの手当てが1カ月1,500円。そういたしますと、最低30名以上になるのでございますが、六、七十名が多い。その1クラブに対して1,500円と申しますと1人当たりおそらく1カ月30円くらいの補助金にしかならないから、いわゆる3歳の童児の1日のあめ買い賃にもならないというわけです。ほんとうに名ばかりの補助金でございます。月1回の集会、茶話会にも足りません。あるいはどこか借館をすると部屋料にも足りません。したがって、県の年間補助金、クラブに対しての総額が1,260万しか出ておらないのであります。これは市町村も同額を出しておるわけであります。すなわち、本県予算1,356億円に対しまして老人福祉に要する総額は全く0.1%にも遠く及ばない。   〔副議長退席、議長着席〕せめて私は、この際0.1%くらいまで組んでもらいたいが、知事はこれに対してどういうお考えであるか。 知事さんはあるいは民生部長さんはなかなかお若い。まさにわれ青年なりとおっしゃっておる関係上、青年憩いの家にはずいぶん御熱心のようであります。越前浜に何億円をかけてもこの建設を決定された。あるいは婦人会館、そのほか団体事業に対する助成金等と比較いたしましてあまりにも老人福祉政策には熱意がなさ過ぎると申さなければなりません。明確なる御答弁をお願いしたい。 豪雪に年々はかり知れぬ苦悩の生活に耐えかねて世を悲観してとうとい生命をみずからの手で断つ自殺者が、昨年は60歳以上の老人が188名であります。本年も、先日調べましたら1月から6月まで半年間で61歳以上の者が95名自殺しております。年齢別でない数字を申し上げますとすでに235名の自殺者が出ておるのであります。いかに積雪寒冷地帯の住民が、特に老人が恵まれない生活に苦しんでいるか、また悲惨な生活のひずみ、谷間において泣かされておるかが証明されることになるのであります。 人間1人の生命を奪った犯人が逃走したら何百万円、何千万円かけても全国指名手配をして捜査するでありましょう。人命のとうとさは申すまでもございません。水俣病で数十名の生命があぶないためにこれほどの大騒ぎをして政治問題になっており、人間1人の補償料は数千万円要求される時代となったのであります。加治川の2年連続水害は人災だと称して国政・県政の失政だと申して損害の補償を要求するような時代であります。こんな重大問題に思いをいたさなければならない。老人の自殺者の遺族から福祉法をたてにとって自殺に至らしめた責任を追及され、ばく大な補償ざたが起こるような事態が絶対ないとだれが保証できましょう。この点、所管部長からも所見を承りたいのであります。この対策について民生部長あるいは関係の衛生部長のきめこまかな施策を承りたいと存じます。 先般、雪害対策特別委員会でも問題となった山間僻地の冬季医療対策、緊急患者の輸送あるいは診療投薬対策などについてとうとう名案も出なかったが、いよいよもはや明日に迫った問題であります。秋の収穫が終われば雪が降り始める。若い働ける者はみんな出かせぎ、家を出て、残る者は病弱の者か老人ぐらいであるが、毎日夜昼ぼたぼたと降り積もる積雪の中で屋根の雪をおろすのにも精根が尽き果て、隣の部落の人もめったにたずねられず、毎日毎日約半年間、6カ月あじけない生活、そのため何の生き張り合いもなくなって社会生活の楽しみを忘れてしまう。厭世自殺者が出るという結果になるのであります。 本年の春4月われわれ建設企業委員会は東頚城の保健所へ視察に参ったときに、自殺者が昨年東頚城だけで22名出た。本年も先月合同委員会が調査に参りましたが、そのときすでに自殺者が18名出ました。年内、この率からいくと自殺者の計は昨年を上回って二十五、六名出るであろうと申されておりました。これは重大なる政治問題と考えねばなりません。今期議会に一段と対策を促し、県執行部に方針の確立をただすべきであると思ったからでございます。 僻地の医師の減らないように気がねの予算196万円の手当てを組まれたり、僻地無医地区に医師を確保せねばならぬといわれますが、それはなかなか容易でありません。僻地の学生中から成績のよいのを選んで医科大学生をつくって、修学費一切を負担して医師をつくる方法も論じられましたが、大学医学部に幸い入学いたしましたとしても7年かかり、その後専門の勉強に大学病院等にとどまって二、三年は少なくとも実地研修をしなければなりません。そうすると、10年はかかります。それでもいなかへ帰って開業してくれればいいが、一生やぶ医者という命名をもらうことになる。頭が上がらない。そのために若い医者は絶対にいなかの診療所や僻地には就任いたしません。いわゆる無医村を埋められない唯一の隘路がここにある。これがやぶ医者になることをきらうのであります。この解消は百年河清を待つにひとしいのでございます。 現在、本県にはお医者さんが1,947名、そのほかに未会員、いわゆる大学病院あたりに勤務されておるお医者さんが約200名、その数からいいますと全国平均よりは少し上回っておる。上位のほうであります。さしたる医師不足とはいえない立場でありますが、いわゆる都市集中的でありがちなのはひとりこの社会だけではございません。個人医師としての地位向上精神からやむを得ないと存じます。無医地区149地区の世帯数が8,601戸ございます。人口で4万3,825人のわれわれ同僚県民が無医村として不安な年じゅうを送らなければならない。健康管理、生命保障の施策について、この際当局からはっきりとひとつ前向きのお答えを願いたいと思うわけであります。 次は、道路の行政を伺いたい。 近時、産業経済の目ざましき発展による近代社会の様相は急テンポに変動しつつありますが、反面何年たっても依然として恵まれず、日の目を拝めず、逆境に置かれ、昔ながらの宿命とあきらめ、非文化的生活に泣いている面が相当多いのであります。依然とした砂利道の悪路と舗装した場所との格差はますます大きくなるばかり、まさに格差解消政策と逆行しておる状態でございます。 政治の要諦は一視同仁でなければならない。乏しきを憂えず、ひとしからざるを憂えるという文句のとおりであります。とかく都市中心主義、中央重点的に走りがちである。環境のよくないところにも公共施設あるいは県の出先機関等の施設をつくることによって、環境条件がよくなって自然と都市化の発展につながるわけである。この格差がだんだん縮まるのであります。何かといえば、新潟市あるいは長岡市あるいは高田市というようないわゆる従来の慣習がありそうでございます。これは私が言うのじゃなくて、よく県民からその声を聞くからこの際申し上げておるのであります。いまや国も県も人口の過疎対策が論議されてきております。いまやこのことに思いをいたしましてきめこまかな方策を立てるべきであると思いますが、どうお考えになりますか、お答えを願いたい。 わが新潟県道は全延長4,050キロメートルございます。そのうち舗装道は現在850キロメートルしかないから21%であります。こんな進み方で、どんなに見ても今後十数年かからなければ県道すら舗装が整わない。いわんや市町村は何十年かかるであろうかということを思われるのでございます。先ほど佐藤議員の御質問に知事は答えられましたが、10年というお答えが出ました。とてもとても10年ではむずかしいと思いますが、しかしかりに10年といたしましても、県民がこの先10年もがまんしましょうかということです。最近の5カ年で単県と公共で約270億円投入されたようであります。毎年平均を見ると54億円になります。もっともっと道路舗装を急ぐべきであることは何人も思い願うは同じであると思うのでありますが、これに対して今後の方針を承りたい。 一例を申し上げますと、弥彦スカイラインあるいは奥只見のスカイライン、有料道路とは申しながら、これは起債がとれるからと申しましても、とにかく合わせて三十七、八億円、約40億円かかる事業であります。また大佐渡スカイライン、魚沼スカイライン等のレジャーを楽しむマイカー族、県外のお客、観光客誘致の対策も必要ではありましょう。しかし、行楽どころか、毎日毎日汗だくで働いても働いても、仕事に励む大切な地域住民の多くが県道、市町村道の砂利道を突っ走る車のために砂じんもうもうとして目、口もあけないほどの被害を毎日毎日こうむっておるのであります。その道路に面した住家は真夏でも戸をかたく締め切らなければならないが、それでも毎日掃除がし切れないほどほこりでまっ白くなる。実際不衛生きわまる生活を続けて、生活権の大なる侵害と、その沿道の作物などは大減収でございます。工場の1本の煙突から出るばい煙でも大気汚染、公害だといって対策になかなかやかましく論じられてまいっております。砂じんもうもう、はなはだしく人体に被害を与える大なる公害、砂利道の舗装対策は先ほど他の議員が論じられた近年の自動車数の急増を考えましても緊急、真剣に取っ組まなければならぬ最重要施策であろうかと思うのでございます。 衣食足って礼節を知るという、ぜいたくの方面は年次計画を延ばしましても、県民の80%も苦しんでおる舗装事業は絶対優先せねばならぬと思うのでございます。この対策と見通しについてもう一度積極的に考えて、5年年次計画くらいででき上がりませんかどうか、何とかお考えを願いたいと思うが、これに対してお答えを願いたいのであります。 以上申し上げまして、私の質問を終わります。(拍手)   〔知事亘 四郎君登壇〕 ◎知事(亘四郎君) 田井さんのお尋ねにつきましてお答えを申し上げます。 まず第1点は、老人福祉についてでございますが、近年老人問題が非常にやかましい問題となりまして、いろいろ悲しい現象が方々に起きておる。特に過疎地帯についてはそういうあれが多いわけでございまして、社会問題として重要視しなければならないわけでございまして、県といたしましても現在いろいろ行なっております施策につきましてそれは十分とは当然申されませんけれども、一応はいろいろ老人ホームの収容施設措置とかあるいは一般家庭の養護委託とか家庭奉仕員の設置、老人クラブの普及育成、老人の健康診査、あるいはまた敬老行事等、いろいろそうしたものの拡充強化をはかってまいっておるわけでございます。本年度は全国に先がけまして、老人の自殺の多発地帯におきましては特に気をつけなければならぬということで福祉相談員を設置いたしまして、そして見回って慰問をしたり本人に勇気づけたりしていこうというようなことまでもいたしておるわけでございます。 でありますが、それでも十分だなどとは毛頭考えておりません。いつの場合でも、そういう山間地に参りまして地域の方々の問題として取り上げられる問題の一つに、必ず老人対策に対しての十分な配慮ということが問題として提起されております。それでありますからして、当然これに対して理解をもっと深く持ち、そして施策を進めていかなければならないわけでございまして、そういう意味におきましても福祉審議会の答申をお願いして、新潟県の老人対策は一体どうしなければならないという課題において審議会にも案をわずらわして諮問中であるわけであります。その答申を得まして、そしてもっと十分に対策を立ててまいりたい、かように考えておる次第でございます。 老人福祉施設でございますが、現在ございますのは、先ほど田井さんからもお話がございましたように養護老人ホームが15カ所、特別養護老人ホームが1カ所、軽費老人ホームが1カ所、老人福祉センター1カ所、老人家庭奏仕員8、市町村、老人福祉相談員6町村、こういう形になっておりまして、まだまだ十分とは申しかねます。したがって、順次福祉対策を強化してまいらなければならないわけでございまして、いま年度途中でございますので、ここでということはできませんが、明年度の当初予算編成に対しましてはこれらの点にも十分考慮いたしまして前進させなければならぬ、かように考えております。 それから、第2番の僻地の医療対策でございますが、これはいま田井さんのほうからるるその実情をお話しなさいまして、そのとおりでございまして、たいへん困難な問題でございます。しかしながら、県といたしましては僻地の医療に対しては特段の配慮を払いまして運営費の助成あるいはまた患者輸送車の整備、巡回診療の強化、僻地勤務医師の方々に対する継続をしていただくようにというような点についていろいろ配慮をしておるわけでございます。 この問題も、やはり県の医療機関整備審議会におはかりいたしまして、もっと適切な手をどう打っていくか、これは新潟県だけでなくて、全国的な問題ではございますけれども、医療対策というもの、そしてまた僻地という立場、ちょっといろいろな例を考えてみましても、村に1人医師がいるといないというようなことは――日本だけでないのです。これはどういうわけですかね。先ほど田井さんがおっしゃったように、いなかに来て開業すればそれはやぶ医者というレッテルを張られる。こういうばかげたことは――もうどうしてそういうことになるのか私もよくわかりませんが、そういうような考え方をまず取り除いていかなければこれはなかなかめんどうだ。私も若い青年医師の方々とたびたび機会があって話をするのですが、どうしても来たがらぬ。少しぐらいの金の問題じゃない、こういうことでございまして、さればといって僻地の医療機関にそれだけ若い人たちの向学心を満足させる設備機械等を備えるということはとうていできないことなんでありまして、結局向学心に燃えておる諸君の考え方でありまして、これを否定するわけにはまいらない。そういうようなことから矛盾が起きてきておるのじゃないかと思うのでありまして、これはやはり政府の施策として、大きな問題として取り上げていっていただかなければなかなか容易に解決できないのじゃないか、かように考えておるわけであります。 それから道路の問題でございますが、スカイラインだとか観光ロード、観光道路だとか、いろいろな関係からいって一般の道路の整備が進んでおらない。先ほどもどなたかのお尋ねに対してお答え申し上げましたとおり、いまの予算規模で進めばやはりかれこれ10年はかかる。だから、10年かかるからしてせめても家屋の連檐地区だけを先にやっていこう、こういうことなんでございまして、そうでない一般の場所までも、野っ原までもということになりますと10年あるいはそれ以上かかるかもしれません。そういうことになりますと経費の問題でございまして、何百億もかかる。そして釈迦に説法になるかもしれませんが、有料道路関係のものの金の出場と一般の公共事業関係の金の出場の性質が違ってきておる。そういうことからして、思いながらも、一般のほうにはそういう公共事業としてあるいは県費単独つけ足しとしてという以外には、予算の範囲内にそれ以上なかなか進めていけない。しかしながら、それでもなおかつ県の施策のうちの最重点は常に道路整備、これがやはり県民の一番強く要望しておる問題でございますから、それには限界一ぱいまでのものはひとつ手をつける、私はこういう態度を今日までとってきておるわけでございまして、今後もその方針を堅持してまいりたい、かように考えております。   〔田井安平君登壇〕 ◆田井安平君 辺地に医師がなかなか行かないということはまだ県当局は理解が足りないと思う。要するに1億円もかけてりっぱな病院とあらゆる近代医療機械をそろえて、そして日進月歩の医学界を常に研究ができ、いわゆる満足な良心的な診療ができ得る施設を持たなければ若い医師は行かないのだ。要するに、やぶ医者になるというのはそれを言うのであります。そこで設備のいい大きな病院にのみ行きたがる。これはなかなかたいへんな経費もかかりましょうけれども、人命にはかえられない。いま、1人の人間の代償が、これは物と違うから何とも言われませんけれども、裁判になんか出ておるのは2,000万、3,000万の要求をされておる。そうすると、5人分の1億円かけてもこれはそろばんが持てるという勘定になる。要するに、こういう点についてひとつよくお考え願いたい。この無医地区の149地区に全部とは言いません。そのうちのまず何カ所でもいいけれどもそういう青年の就職魅力のある施設をつくらなければこの解決はつかぬのであります。それまでとりあえず臨時対策としてどういうことを考えておられるのかと私は質問をしておるのでありますけれども、それについては明確なお答えがない。 私の試案をちょっと申し上げてお考えを願いたい。ということは、山間僻地の人たちがこれだけ自殺者を出しておるということの説明は先ほど申し上げたとおりであります。そこで、若い者は出かせぎに出てしまう。雪はじゃんじゃん降る。その降る前に、まずお産の予定はもうきまっておりますから、お産の関係の人は事前におりてきてもらって、そして産婦人科の医者の女中奏公でも何でもして、お手伝いして、特に冬うち女中さんなんかなくて困っておる。看護婦の手伝いでも何でもいい。そこに住み込んで、あまり医者を騒がせぬようにしておけばいい。医者の立場から、往診を求められた。さて行きたいけれども、なんたって雪の中を6時間も8時間もかかっていって、やっと着いてみたら相手が死んでいた。ちょうどお通夜をしていた。日が暮れて帰るに帰れない。帰ってきたところが、汗みどろで行ってきたものだからとうとうかぜひいてしまって3日間医者が高熱出して寝てしまったというような状態になってくるのであります。 そこで対策としては、まずそういう病気を出しそうな人は事前に定期診察をして全部部落のカルテをつくっておいて、そして残っておる老人あるいはそういういわゆる継続患者などというものがありましたら、それは保健婦に一切のカルテを預けておく、その担当の医者も持っておる。そして電話で打ち合わせて病態を言うてそこで投薬をしてもらう、あるいは注射もするという方法があるのであります。これは無診投薬というて法律違反という声が出ております。まだ御研究が足りない。その場合の緊急措置として特例を設けられておることに御勉強ができておらない。そういうようなことについてよく当局に考えてもらわなければならぬのであります。そして保健婦に一切緊急措置をとらせる。 それと、私申し上げたいことは、老人福祉法にうたわれておる老人、一番自殺のおそれのある老人、これをまず冬季間はそういう自殺のおそれのある個所に置かないがいい。そして下山させて都会の居ごこちのいいところに大ぜい集めて集団生活をして楽しみのある日々を送らせる。これは食うに困る人じゃないのだからそれぞれ自分の食べる米2槽くらいは持ってくる。そして副食物として最低1,000円くらい、あるいは1日100円で3,000円くらいでもいいが、とにかく有料、いわゆる軽費を負担してもらって、そして100人、200人とそれぞれのかっこうの健康体の人たちを集めて楽しい生活を送らせる。この間視察に参りましたときに高橋十一先生がお話しになりましたが、あの大島村でみんな下山させて1カ所に集めて一冬暮らさせたことがあるが、あまり喜ばない。喜ばないわけです。こういう大雪の大島、自分のいたところとたいして変わらない。そして同じ顔ぶれ、連中、そういう人たち、それといわゆる手当ての問題です。いわゆる優遇措置がどの程度であったか、内容はまだつまびらかではございませんけれども、それこそほんの下におろしておいて、夜具ふとん持ってきて、そこにおまえいらっしゃいというだけのことだったと思うのでありますが、そういう程度ではいかないのです。これは法が命じておる。喜んで恩恵に浴し生活を楽しみ、そして健康的にして文化的生活を営ませねばならない義務がある。こういう点から、相当のよい場所に持ってきて、そして200人も300人も収容でき、それぞれその人の好み、あるいは囲碁将棋で楽しむとか、読書で楽しむとか、あるいは俳句をつくって楽しむとか、それぞれの組を配置して楽しませるというやり方によって進んでみなおりてきて、米を2槽持ってきて、そして副食物代を月に3,000円くらいの低額の負担は喜んでする。それに対して喜ばせるだけの施策をするに一体幾らかかりましょう。わが新潟県の1,350億あるいは1,400億に必ずなるであろうというこの大きな財政のもとに幾らの比率になるでありましょう。1%とは申しません。0.1%でよいからそれくらいの前進をされてはいかがかと質問を申し上げておるのであります。 そういうようなことで、もっといろいろこまかい質問をしたいのでありますけれども、制限時間でございますから、いま申し上げたことに対してのお答えを願いたい。(拍手)   〔知事亘 四郎君登壇〕 ◎知事(亘四郎君) 田井さん、適切な事例をお取り上げになって、県の老人福祉対策あるいは僻地医療、そういう関連におきまして、もっと前向きに進まなければならない、かような御意見でございまして、まさにそのとおりだと私も思っております。したがいまして、先ほど申しましたように、来年度の当初予算編成に対して、お説を尊重いたしまして、当然県としてやらなければならない重要施策の一つでございますので、できる限り予算措置を講じましてそれらの問題の前進につとめたい、かように考えておる次第であります。   ――――――――――――――――― ○議長(高橋重雄君) これにて本日の一般質問は終了いたしました。   ――――――――☆―――――――― ○議長(高橋重雄君) 明10月6日は休日のため本会議を休会といたします。 おはかりいたします。 次会は明後10月7日午前10時から開くことにいたしたいと思います。これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(高橋重雄君) 御異議なしと認めます。よって、次会は明後10月7日午前10時から開くことに決しました。   ――――――――☆―――――――― ○議長(高橋重雄君) 本日の議事日程は終了いたしました。 本日は、これにて散会いたします。 △午後4時30分散会...